ベーキングパウダーと重曹。どちらもお菓子を膨らませるのに使われますよね。ベーキングパウダーを切らしてしまったときに代用として思いつくのが重曹だったりもします。
掃除に活用できるので、一石二鳥……と思いきや、重曹の力はまだまだそんなものではないんです。今回はお菓子作りにおける重曹の万能さについてご紹介したいと思います。
重曹の特徴とお菓子に使う際のポイント
一番多く使われるシーンは、膨らし粉として、ベーキングパウダーの代用が多いかもしれません。
しかし、ここで注意がひとつ。ベーキングパウダーには重曹に加えて粉末状の酸が入っています。他に酸性の材料が入っていない食材に重曹だけを加えると、膨らまないうえに苦い味になってしまいます。
クッキーやケーキを重曹だけで膨らませる時は必ず、レモンや酢など、酸の成分を加えて使いましょう。重曹が酸と反応して発泡するタイミングは早いので、確実に膨らませるためには、オーブンなどを予熱しておいて、材料を合わせたらすぐ加熱するのがポイントですよ。
酸っぱすぎるとき、黄色っぽくしたいときは重曹
重曹の苦味は、酸っぱすぎる食材の味を和らげるのに役立ちます。酸味の強いレモン、野いちごなどでジャムやタルトを作るとき、重曹を加えると砂糖の量を減らすことができるんです。
また、焼き上がった生地の色が黄色っぽくなるのも重曹の特徴。チョコレートケーキなどに使うと、色に深みが増します。
チョコレート、黒蜜、蜂蜜と組み合わせても
酸性のものと合わせると膨らむのが重曹の特徴です。味だけではあまり酸っぱさを感じませんが、チョコレートや黒蜜、蜂蜜などの材料も酸性ですから、重曹と合わせて使うことで膨張剤の作用が生じます。酸性の材料カップ1に対して、重曹小さじ1/2程度。クッキーやケーキがふっくら焼き上がります。
多才な重曹、これらの他にもお菓子作りの様々な場面で利用できます。重曹を溶かした水に皮をむいて実をわけた柑橘類を浸しておけば、薄皮むきも簡単になります。重曹には酸を中和し、油と乳化する作用があるので、バターたっぷりのケーキに加えておくと、胃もたれを防げますよ。
重曹の特徴を知って、ヘルシーにおいしく活用しましょう!
参考:
尾島好美『「食べられる」科学実験セレクション』(サイエンス・アイ新書)
ヴィッキオー・ランスキー『魔法の粉ベーキングソーダ』(飛鳥新社)
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