味覚力は人によって違います。もちろん磨けば鋭くなるのですが、幼少期の食体験、生まれ育った国の食事、家族やパートナーの嗜好など、様々な要素によって私たちの味覚は形成されています。
今回ご紹介するのは女性のほうが男性よりも味覚が優れているという研究結果。その理由には、生物としての重要な割が隠されていました。
世界ではじめてミシュランの星を獲得したのは女性だった!
レストランに格を与えるミシュランの星。この星つきレストランが登場するのは、1933年のことです。その記念すべき最初の星付シェフの一人は、なんと女性でした。
ユージェニー・ブレイザーというこの女性、実に6つの星を取得しています。85年におよぶミシュランの星の歴史において、6つの星を獲得したのは彼女のほかに4人の男性のみです。
日々の生活の中で料理をする割合は女性が多いのに、話題となる料理人は男性が大半ですよね。しかし、数々の研究によれば男性よりも女性のほうが優れた味覚を持っていることが判明しました。女性のほうが男性より味覚を見分ける力があり、それを適確に表現する才能にも恵まれているそうです。
味覚には幼少期から男女差がある!?
コペンハーゲン大学では、幼少期の味覚における大々的な研究を行いました。対象となったのは、8900人の小学生やティーンエイジャーたちです。甘さや酸っぱさを、どの程度の濃度で子供たちが認識するのか、また好むのか、味蕾の数、食習慣などが調査されました。
それによると、子どもたちは大人が想像している以上に味覚が発覚しており、男女の差も顕著でした。
女の子が味覚のセンスが優れており、男の子が女の子と同じように味覚を感知するには、酸味については10%、甘味については20%多くの食材を口にする必要があったそうです。研究チームは、「劇的」な差ではないが「明確」な差ではあると報告しています。
また、子どもたちは必ずしも甘味ばかりを好むとは限らず、男児は酸味を好む傾向があることも判明しました。こうした結果は、今後子ども向けのおやつやスナックの開発に役立つといわれています。
「母」として子どもを守るための味覚
実際、女性の舌の味覚受容体は男性よりも多いケースが見られ、これは母として子どもの健康を守るために進化したのではないかと言われています。
そのため、とくに妊娠や出産の前後には女性の舌はより鋭敏になるという説もあります。腐敗したもの、体に危険を及ぼすものを見分ける味覚が、妊娠の前後には女性に備わるんだとか。
これと同様の理由で、女性の嗅覚も男性よりも優れていることがブラジルのリオデジャネイロ大学の研究で判明しています。
ちなみに、胎児の味覚受容体は12週目から形成されます。妊娠中、女性が野菜や果物を大量に摂取すると、生まれた子どももこうした食材に対して好き嫌いが少ないというデータもあります。
味覚は体を守るための大切な機能。子どもに食事を与える母である女性のほうが優れていると考えると、思わず「なるほど」と呟いてしまいますね。
参考:
Le donne hanno un migliore senso del gusto?
Perché gli chef famosi sono quasi tutti uomini?
Scienza: in cosa sono diversi uomini e donne?
https://www.artapp.it/single-post/Perch%C3%A8-le-donne-cucinano-da-sempre-ma-i-grandi-chef-sono-uomini
Perché le donne cucinano e gli uomini diventano chef?
関連記事:
味の好みが語る性格とは?味覚と性格の関連
味覚と脳から考える、子どもの「野菜嫌い」のワケ
食べたいと思うのは何色?年齢と性別による違い