チョコレートの効能が毎日のようにニュースになる昨今。ストレスの解消、記憶力の改善、抗炎症作用があるなどなど、まるで万能薬のようなチョコレートですが、その効能が視力改善にまでおよぶというニュースがアメリカから飛び込んできました。
テキサスのインカーネット・ワード大学の研究チームによる結果報告は、眼科専門誌『Jama Ophthalmology』に掲載されています。
ダークチョコレートは、視力とコントラスト感度に有益な作用があることが判明したそうです。
ダークチョコレートが視力に良い影響を与えるという説
チョコレートといっても指すのはダークチョコレート。
ダークチョコレートの有益な特性は、ここ数年でかなり具体的に知られるようになっています。「フラボノイド」「アミン」「アルカロイド」「フラバノール」などの成分は、脳や心血管系の臓器に良い作用を及ぼすと言われてきました。
その作用のひとつ、血管拡張効果が潜在的に視力の回復にも役に立っているのではないか……という説は、実は過去にも学者たちの間で囁かれていたもの。
しかしこれまでは、この説はあくまで推測に過ぎませんでした。視力に対するカカオの効果を実証するランダム化比較試験が行われていなかったのです。
インカーネット・ワード大学が実施したのは、まさにこれでした。
食べてから2時間で視力に影響する!?
調査研究に参加したボランティアは30名。彼らは2つのグループに分けられ、それぞれカカオの含有率70%のダークチョコレートとミルクチョコレートを食べてもらいました。
実験は72時間後に再度行われ、2回目はダークチョコレートとミルクチョコレートのグループをひっくり返して実施されました。
実験が行われる日、参加する30人は牛乳とコーヒーの摂取が禁止されました。このふたつの飲み物は、フラバノールの作用を妨げるためです。
結果、チョコレートを嚥下してわずか2時間後に、ダークチョコレートを食べた人々は視力が改善したというんです。
ダークチョコレートを食べた参加者の大半は、より小さい文字が識別でき、わずかではあるもののコントラストに対する感度も良くなっていたとのこと。
気になる要因やチョコレートと視力の関連性は、まだ明らかになっていません。研究チームは、フラバノールが脳内の血液循環を促進し、酸素や栄養素が増加、視覚に関連する領域に影響を及ぼしているのではないか……と仮定しています。
今後の課題は、チョコレートが視力に及ぼす影響の持続時間や実際的な有用性。研究チームはそのために新たな研究を続けていくそうです。
参考:
Il cioccolato fondente migliora la vista
Effects of Milk vs Dark Chocolate Consumption on Visual Acuity and Contrast Sensitivity Within 2 Hours
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