パスタはダイエットの敵ではなかったことが判明!

「パスタは大好きだけれど、炭水化物だし太るから……」と泣く泣く控えているあなたに朗報です。カナダのセント・マイケル病院の研究者ローラ・キアヴァローリ氏が医学雑誌「BMJ Open」に発表したところによると、ダイエットのために危険視される炭水化物のうち、パスタに関していえばこの範疇にないんだそう。

逆に適度の量のパスタを食べることが減量に繋がる可能性もあるそうなんです。

適量のパスタを食べると体重が減少する?

他の炭水化物とパスタの違いとはなんでしょうか。それはGI(グライセミック・インデックス)です。GIとは糖質摂取時2時間までの血糖値の上昇度合いを表す数値で、グルコースを基準とした場合、55以下が低GI、56〜69が中GI、70以上で高GIとされています[*1]。

GIの値が高いほど食後の血糖値の上昇が激しくなります。血糖値が急激に上昇すると、インスリンが多く分泌され血糖値を下げようとします。しかしそこで糖が余ると脂肪に変えて蓄えられてしまいます。これが、高GI食品が太ると言われる所以。

調査は、過去に32の研究データを収集し、2448人の被験者のパスタと体重の関係を分析[*2][*3]。すると、炭水化物としてパスタだけを摂取した人々は、体重も体脂肪も増加していないことが判明しました。

また、一週間に平均して3.3人前のパスタを摂取した人々は、非常にわずかではあるものの体重の低下が見られたのです。対象となった人々は、12週間で平均0.5キロの減量に成功していました。

白米のGIは76、白いパンは70。一方、パスタは50です[*1]。もちろんこの数値は食材の品種や調理法、一緒に食べる食べ物、1日の食事の摂り方などによっても変わりますが、単体の数値だけ見るとパスタはGIが他の炭水化物に比べて低く、ダイエット向きであると言って良いでしょう。

パスタはGI値が低い他の食品と同様の扱いをしてもよいのかどうか、研究チームは今後も綿密に研究を続けるとしています。

地中海式食事法のポイントは「血糖値の上昇を抑える」

2013年にユネスコの無形文化遺産として登録された地中海式食事法が健康やダイエットに有益であるというのは有名な話。地中海沿岸の人々の健康の秘訣は、穀類の摂取にあるといわれています。

この食事方法は、血糖値の上昇を極力抑えるというのがポイントなんだそう。

パスタは他の炭水化物と比べると血糖値の上昇が顕著ではないうえに、アルデンテという固めに茹でること、トマトソースやチーズ、バジリコなどで味つけをすることが適度のインシュリンの分泌につながり、パスタによって満腹感を得ることができるのです。

パスタを「アルデンテ」、固めに茹でることは、食感という面だけでなくダイエットにも良いんだとか。アルデンテによって保たれるでんぷんが、代謝能力を高めるんです。

逆に、茹ですぎたパスタを食べるとインシュリンの分泌が増加し、体重が増える可能性もあるようです。

「パスタを食べると太る」というイメージは、その味つけが大きな原因。パスタの味つけに多量の塩や油を使用すれば当然、肥満につながりますよね。

栄養学者によれば1日に食べるパスタの適量は、男性が80g、女性が70gとのこと。パスタも腹八分で食べることが大事なんですね。

参考:
*1 Glycemic Index
*2 “La pasta non fa ingrassare, è amica della bilancia”
*3 Effect of pasta in the context of low-glycaemic index dietary patterns on body weight and markers of adiposity: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials in adults

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