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柔らかい豆腐は戦後から?豆腐の凝固剤の転機

柔らかい豆腐は戦後から?豆腐の凝固剤の転機

柔らかい豆腐は戦後から?豆腐の凝固剤の転機

ヘルシーなイメージで、大豆に含まれるイソフラボンが栄養素として代表的な豆腐ですが、実は不足しがちなミネラルを摂取することもできる優れた食品でもあります。

とくにミネラルが含まれるのが、豆腐の凝固剤。例えばにがりの別名は、「粗製海水塩化マグネシウム」。この名前から想像がつくとおり、にがりの主成分は海水からとれる塩化マグネシウムで、マグネシウムが多く含まれています。

また、にがりのほかに多く使われる「硫酸カルシウム」ではカルシウムの摂取が可能です。

そんな豆腐の凝固剤、実は戦時中のある出来事が起きるまでは、にがりしか使われていなかったんです。

金属類回収令で供出の対象となった「にがり」

金属類回収令が発令され、戦時中、軍事物資の材料として金属類は回収されました。提出を命じられたのは鍋や釜、銅像、お寺の梵鐘までも。

一見したところ金属とは何の関係もなさそうな豆腐ですが、にがりに含まれるマグネシウムは、航空機体につかわれるマグネシウム軽合金、ジュラルミンの材料として重宝されたため、にがり工場はそのまま軍需工場となりました。

そこでにがりの代用品として豆腐を固めるのに利用されるようになったのが、「すまし粉」です。これが石膏を精製した「硫酸カルシウム」。

このときから日本では、固めの木綿豆腐から、「健民豆腐」と呼ばれる保水性の高い、滑らかな触感のソフト木綿豆腐が作られるようになりました。

木綿豆腐の材料となるにがりの主成分、塩化マグネシウムは水に溶けやすく、豆乳の凝固反応が速いため、重しをかけて水分を抜いて固めて形を作る必要があります。このため大豆含有率の高い、かための豆腐になります。

塩化マグネシウムに比べると硫酸カルシウムは保水力が高く凝固しやすいので、水分濃度の高いやわらかめの豆腐になるんです。

現代の豆腐の凝固剤

「すまし粉」が石膏から出来ている、というと驚かれるかも知れませんが、豆腐発祥の地である中国では、実はにがりとともに昔から使われてきた材料。また、味噌汁に入れるとバラバラになってしまう、寒天で固めた豆腐も作られていました。

固まりやすく作業効率が高い「すまし粉」を使った豆腐は戦後になってからも普及し続け、今ではでんぷんを原料として作られ、天然のはちみつにも同じ成分が含まれる「グルコン(グルコノデルタラクトン)」という有機化合物も、より柔らかい豆腐の凝固剤として普及しています。

海水や岩塩を材料とする天然のにがりを使ってつくられていた昔の豆腐は大豆の濃度が高く、海水中の多様なミネラルを含んでいました。

反面すまし粉を使った豆腐は、大豆に由来するタンパク質などの成分が減った代わりに、カルシウムの含有量が多くなっています。

柔らかい豆腐は戦後から?豆腐の凝固剤の転機

好みはともあれ、昔ながらのにがりで固めた木綿豆腐の方が栄養価は高めで、いわゆる豆腐本来の味に近いといえるでしょう。ただ、当時の出来事でにがり職人の多くが廃業してしまったため、現代のにがりは昔のにがりとは異なるようです。

大まかには、大豆の濃度が薄いものほど、食感のなめらかな柔らかい豆腐になります。かたいものから柔らかいものまで、好みの豆腐を択べるのは、平和な時代であることの証明なのかもしれません。

参考:
林真司『「沖縄シマ豆腐」物語』
全国豆腐連合会『豆腐読本』
日本専売公社『日本塩業史』
市販の豆腐32銘柄について、その栄養成分を調べた

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