最近、ケトジェニック・ダイエットという言葉をよく聞きます。脂質は摂取するけれど炭水化物などの糖質を制限する、というダイエットです。
しかし、もしかするとこのダイエット法はあなたの心理状態を悪化させてしまうかもしれません。
炭水化物を減らしてダイエット、気分がいいのは最初だけ?
オーストラリア連邦科学産業研究機構では、ダイエットとそれに伴う心理状態について研究を進めてきました。
ダイエットを開始し順調に体重が減ってくると、人間は非常に朗らかな気分になります。その「いい気分」は継続するのでしょうか。
オーストラリアの研究では、平均年齢50歳の男女を対象に次のような調査を1年にわたって行いました。
55人には、炭水化物と脂肪の量が双方ともに低いダイエット。
51人には、多量の炭水化物と低量の脂肪がメニューにあるダイエット。
その結果、いずれのグループも1年後には平均して13.7kgのダイエットに成功しました。
心理状態も、前半はいずれのグループも良好でした。
ところが後半に入って、炭水化物量のチームは気分の落ち込みや記憶力の低下などの症状が見られるようになったのです。
研究者たちは、1年間の努力によるダイエットの結果よりもこの心理状態の悪化のほうが懸念されるケースもある、としています。
炭水化物と心理状態の関連は今後の研究課題です。脳内の神経伝達物質、セロトニンの分泌と炭水化物の摂取の関係が取りざたされてはいますが、いまだ真理は不明なんです。
心理状態の向上のために摂取する食品は年齢によっても異なる
一方、アメリカのビンガムトン大学でも食品と心理状態についての研究が発表されました。
この研究では、同じ食材を食べていても年齢によって心理状態に及ぼす影響が変化することが判明しています。
18才以上の男女563人を対象に行われた調査によると、18歳から29歳の若者にとっては肉などのタンパク質の摂取によるセロトニンやドーパミンの神経伝達物質の動きが、心理状態の向上に大きな役割を果たしていることがわかりました。
研究者たちのアドバイスは、赤身白身いずれの肉でも良いので週3回ほど摂取し、適度な運動をするのがもっとも効果的とのこと。
一方、30歳以上の人間の心理状態は、抗酸化作用がある食品の摂取と関連があることが判明。果物をより多く摂取し禁酒をするなどして、交感神経活性化することにより気分を落ち込ませるストレスに打ち克つことができる、という構図です。
研究者によれば、コーヒーの飲み過ぎや朝食抜きの生活も、心理状態に悪影響を与えるのだとか。
年齢を重ねるとフリーラジカルの形成が増え、これによってストレスをコントロールする能力も低下するといわれています。これに対抗できるのが、抗酸化作用。精神的苦痛の軽減には、抗酸化作用を持つ食材の日常的な摂取が大きなポイントのようです。
参考:
A rischio il buon umore eliminando i carboidrati
Il rapporto mutevole tra cibo, umore ed età
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