料理の味付けに、調味料は欠かせない存在ですね。ほどよい量の調味料を加えることで、食材本来のおいしさが引き立ちます。また、調味料の役割は味をつけるだけではありません。たとえば、お肉にお酢をつけるとお肉が柔らかくなるといった具合に、食材の硬さを変えることもできるのです。
しかし、調味料はただレシピに書いてある量を加えれば良いというわけではありません!実は、調味料を加えるタイミングによって、食材への効果は変わってきてしまうのです。
今回はじゃがいもを例に、調味料を加えるタイミングと硬さの関係を見てみましょう!
塩は途中から加えると効果半減!?
日本の調味料で代表的なものといえば、「さしすせそ」とも表現される、砂糖・塩、酢・しょうゆ・みそですね。このうち、砂糖・酢・しょうゆは食品を硬く、塩は柔らかくするはたらきをそれぞれ持っていると言われています。
しかし、これらは煮たり蒸したりするときに、調味料を最初から加えた場合の話です。ときには調味料を入れ忘れたり、もっと濃い味にしたくなったりして、調味料をあとから加えることもあるでしょう。その場合、最初から加えた場合と比べて、味のつき方は変わらないかもしれませんが、食材の食感への影響が変わってしまうことがあるのです。
福島大学の研究者らは、じゃがいもを蒸すときに5%の塩を入れるタイミングを変えてみて、蒸し時間20分後の硬さの違いを調べました。その結果、普通に蒸した場合は10.5×10^5 dyn/cm^2という硬さだったのに対し、塩を最初から加えたときには7.2×10^5 dyn/cm^2と値が下がっており、定説通り柔らかくなっていることがわかりました。
しかし、蒸し始めから5分後に塩を加えた場合は11.3×10^5 dyn/cm^2、10分後に加えた場合は9.5×10^5 dyn/cm^2と、普通に蒸した場合と大きく変わらない硬さとなっていました。なお、じゃがいもに塩分が染み込んだ量については、塩を加えるタイミングによる違いはなかったようです。
このことから、柔らかくてほろほろとした食感の蒸しじゃがいもを作りたい場合は、塩を最初から入れたほうがよいことがわかります。
砂糖は比較的いつでもOK、お酢は遅いとアウト
同じように、じゃがいもに10%の砂糖をタイミングを変えて加えて20分間蒸す実験も行われました。その結果、最初から加えた場合、蒸し始めから5分後に加えた場合、蒸し始めから10分後に加えた場合のいずれにおいても、普通に蒸すよりも硬くなっていました。最初から加えたほうがより硬くはなりましたが、少し加えるのが遅れてしまっても、じゃがいもを硬くする効果は期待できそうです。
また、0.2%のお酢で同様の実験を行ったところ、最初から加えた場合や、蒸し始めから5分後に加えた場合にはじゃがいもが硬くなりましたが、蒸し始めから10分後では、普通に蒸した場合とほぼ同程度の硬さになりました。お酢の場合は砂糖と違って、早めに加えることで、噛み応えのあるじゃがいもに仕上がりそうです。
こうした単独の調味料のはたらきを覚えておけば、2つ以上の調味料を加えて味をつける場合に、加えるタイミングを変えてじゃがいもの硬さをコントロールすることもできるでしょう。たとえば、塩と砂糖を加えるレシピでじゃがいもを硬めに仕上げたい場合は、砂糖を先に加えて塩を後のほうに加えるといった調節ができます。
寒い季節はカレーやシチュー、肉じゃがなど、ホクホクとしたジャガイモを使った料理を作る機会も増えると思います。じゃがいもをお好きな硬さにするために、ぜひ調味料を加えるタイミングを意識してみてくださいね!
参考:じゃがいもの加熱における調味料の添加時期と硬さとの関係
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