あなたはストレスが溜まったとき、ついついやけ食いしてしまった……という経験がありますか?
なぜ、ストレスが溜まると食べすぎてしまうのか。原因は様々ですが、そのひとつとして、ストレスホルモンとの関係が挙げられます。今回はストレスホルモンと食欲の関係について解説します。
ストレスホルモンと食欲の関係とは
物理的でも、精神的でも、ヒトはストレスを感じるとそれに対処するため、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンを分泌させます。いわゆるストレスホルモンですね。血中や尿中のコルチゾール値はストレスの指標としても使われます。
このコルチゾールは分泌されると主に血圧を上昇させ、全身の細胞でアミノ酸や脂質を急速に動員し、エネルギーやグルコースを産生します。ストレスによって障害を受けた組織はタンパク質を欲するため、これを補充するのにアミノ酸を動員すると考えられています。他にも炎症を抑制するなど、色々な作用を持っています。
ざっくり言ってしまうと人間はコルチゾールを分泌して受けたダメージを修復しようとするんですね。ストレスに対応するためのホルモンなわけです。
強いストレスを受けるとコルチゾールがたくさん分泌されるわけですが、これが「食べすぎる原因」になるんです。
なぜ、食べすぎてしまうのか
コルチゾールが過剰に分泌されると、まずストレスに対応するためにエネルギーをたくさん確保しようとします。アミノ酸、脂質が多く必要になりますね。脳から「食えよ」という指令がくるわけです。
また、コルチゾールが多すぎると「レプチン」が減少します。血中コルチゾール濃度と血中レプチン濃度には負の相関が認められています。
レプチンは抹消の脂肪細胞から分泌される摂食抑制作用を持つホルモン。このレプチン、正常に作れず肥満を引き起こしているマウスにレプチンを補充すると、体脂肪が顕著に減少するほどのお役立ちホルモンです。
レプチンが減少すると食欲の抑制機能が低下し、満腹感を感じにくくなってしまいます。脳から「まだ食べれるよ」と言われるわけです。そりゃ食べますよね。
これがストレスを受けてから過度な食欲に繋がるまでのメカニズムです。
ちなみに先述のセロトニンが甘いものを食べたときなどにも分泌されることは有名ですが、これもストレスを受けたとき、甘いものを食べてしまう原因ですね。
ネットなどでたまに「コルチゾールを減らす方法」といった文章を見かけますが、普段の生活でコルチゾールの分泌を抑えようとするのはあまりよくなさそうです。ストレスを受けた体を修復するために、必要があるからコルチゾールが分泌されるわけですから、そのあたりのバランスは崩さない方が良いのではないでしょうか。
どうすれば良いかと言うと、やはり「ストレスをなくそう!」「解消しよう!」になるでしょう。それが難しいんですけどね!
参考:
ストレス,摂食,性の制御機構に関する中枢神経ネットワーク
女子競技選手の血中コルチゾール濃度が血中レプチン濃度に及ぼす影響
仕事の心理社会的ストレスとメタボリックシンドローム
「なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?」道江美貴子著
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