色が「美味しさ」に及ぼす影響
人間の体で味を感じる器官といえばもちろん舌ですが、視覚も美味しさに影響するのは言わずもがなですよね。
うどんにピンクのかまぼこを入れるだけでグッと「美味しそう」レベルが変わりますし、緑、赤などを取り入れた彩豊かな食卓はそれだけで食欲が湧いてきます。
また、「青い皿による食欲減退効果は料理によって差があることが判明」の記事でご紹介した研究結果では、青10%〜20%の皿は食欲を増進させ、青100%の皿は食欲を減退させる傾向が示されています。
これと同じように、食事の下に引くランチョンマットによっても味の感じ方が変わるようです。
色によって変わる味覚閾値
味覚閾値とは味を感じる最小値のこと。ざっくり言うと味の感じやすさで、これは人によって違います。
例えば、甘いものをよく食べる人は甘味の認知閾値が低く甘味を感じやすい傾向、外食が多い人は旨味の認知閾値が高く旨味を感じにくい傾向があるなど[※1]。
この味覚閾値は、色によっても変化するようです。
29名の成人女性を対象にした実験[※2]では、食器の下に引いてある色(ランチョンマット)の色によって味覚閾値が変わるという結果が出ています。
実験では、白を基準として赤・緑・青の色画用紙が用意されました。色画用紙の大きさはアイマークレコーダーで視線範囲が100%カバーできる程度。甘味・塩味・酸味・苦味の閾値が調べられました。
その結果、以下の色と閾値の関係において、有意差のある変化が見られたそう。
・赤:塩味を感じやすくなる
・青:甘味を感じやすくなる
・緑:甘味・塩味を感じやすくなる
酸味と苦味は色による変化が見られなかったようです。
塩分摂取量を減らそうと塩味を控えめにした料理を作っている方は、赤や緑のランチョンマットを引くことで物足りなさを軽減できる可能性がありますね。甘味の場合は青や緑です。
脳は同じ味を食べ続けると飽きてしまいます。推測ですが、当該色のランチョンマットを引くことで脳が「もう食べたくない」というレベルに達する速度が増し、結果、しょっぱいものや甘いものを食べる量が減る……という効果も期待できるのではないでしょうか。
健康やダイエット目的でしょっぱいものや甘いものを減らしている方、ぜひランチョンマットの色も視野に入れてみてくださいね!
参考:
※1 食生活状況と味覚感度に関する研究
※2 食環境にケアにおける色提示が味覚閾値に及ぼす影響 お茶の水医学雑誌,59(1)
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