「一晩寝かせたカレー」を安全に食べる調理のコツ

カレーが美味しい季節です。

都内では桜が終わり、気持ちのいい初夏の気候が続いていますね。スカッと晴れた天気のいい日には、「今日のお昼はカレーかなあ」なんて気分になります。

お家で作るカレーの醍醐味と言えば、あの「一晩寝かせたカレー」。その美味しさは味覚センサーレオでも証明済みです。

しかしこれからの暖かい季節、気になるのは食中毒。最近話題の“ウェルシュ菌”による食中毒を避け、「一晩寝かせたカレー」を安全に食べるために、わが家で実践している方法をご紹介します。

そもそもウェルシュ菌とは?加熱をしても安心できない……

ウェルシュ菌は、土壌や動物の腸管に存在する食中毒菌。カレーの材料であるジャガイモやニンジン、食肉から検出されやすいと言われています。

材料中のウェルシュ菌がカレー中で増殖しやすいのは約50℃~20℃の温度帯。大鍋で作り、とろみがあって冷めにくいカレーのような料理は、常温で放置することでこの温度帯をゆっくりじっくり通って冷めます。その温度間にウェルシュ菌が食中毒を引き起こす量まで増殖しやすくなってしまうんです。

そうして菌が増えた2日目のカレーを口にすることで、人間の腸管内でエンテロトキシンという毒素が悪さをするのが、ウェルシュ菌による食中毒発生の仕組み。この菌の怖いところは、芽胞という熱に強いカプセルにガッチリ包まれているため、加熱ではなかなか死滅しないこと。「しっかり加熱をしたから大丈夫」というわけではなかったのですね。

では「2日目のカレー」を楽しむ際、ウェルシュ菌の増殖を防ぐにはどんな方法が効果的なのでしょうか?

「保存」「材料」「調理」を見直してウェルシュ菌対策

ウェルシュ菌の増殖を防ぐには、菌が増えやすい温度を「素早く通る」ことがポイントになります。これはつまりカレーを「素早く冷ます」ということ。

出来上がったカレーを一食分づつ小分けにして、すぐに冷蔵庫で保管することはもちろん、素早く冷ますためには、調理方法からも工夫が出来ます。例えば冷めにくさの原因となっているとろみを避けるため、カレールーではなくカレー粉を使う(とろみを若干つけたい場合は少しだけ小麦粉を入れる)、じゃがいもを抜くなど、この時期のカレーは材料から気を付けるのがポイント。

また空気のない場所に存在するウェルシュ菌は酸素に弱いため、調理時や再加熱する際に鍋の中身をよくかき混ぜ、底まで酸素に触れさせることで、菌の増殖を防ぐことも可能に。

もちろん、以上の方法で完全に食中毒を避けられるわけではありません。どうしてもウェルシュ菌が心配であれば前日調理はしないに限るのですが、せっかく家庭でしか味わえない「2日目のカレー」を美味しく食べたいもの。みなさんも「2日目のカレー」が食べたいときは、安全に美味しく食べる方法を工夫してみてくださいね。

※ 食生活アドバイザー2級公式テキスト
食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト 東京都福祉保健局
一般財団法人 東京顕微鏡院

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