加熱したフルーツにポリフェノールは残っているのか
旬のフルーツであるりんごを始め、冬場は常温保存が可能で日持ちも良いためか、至るところでフルーツが贈られるさまを目にする気がします。そんな大量にいただいたフルーツの有効な消費に一役買ってくれるのがパイやケーキ、コンポートではないでしょうか。
ただ1つ気になるのが生のフルーツに含まれる栄養素です。とくにフルーツ全般に含まれるのが、肥満予防や血流改善、抗酸化作用などの嬉しい効能が望めるポリフェノール。
このフルーツ内のポリフェノール、加熱したらどうなっちゃうんでしょうか。
完熟した白桃ではポリフェノールが流出
その答えとなりそうな研究結果がありました。2種類の加熱(ブランチング)処理によって果実中のポリフェノール・抗酸化活性にどういった影響があるかを調べたもので、りんご、梨、白桃、黄桃、ネクタリン、スモモ、プルーン、ブドウの8つのフルーツが用いられています。
各フルーツは皮付きのまま3等分し、生・電子レンジ・湯煮調理の3種類に分類。電子レンジ加熱は600wで沸騰確認後1分加熱、湯煮加熱は沸騰したお湯で2分加熱したものとなっています。
結果、総ポリフェノール量の有意な低下が見られたのは白桃の湯煮加熱。なお、白桃の電子レンジ加熱および他のフルーツでは微量の低下のみとなっていました。
これは白桃に含まれ完熟期で急激に増大するポリガラクツロナーゼの働きによって白桃の組織が軟化したため、湯煮による刺激で組織中のポリフェノールが流出したものと考えられています。
加熱によるポリフェノールの変化は様々な研究結果が報告されていますがその内容は変化なしであったり、著しい低下が見られたりと加熱内容、品種(個体)によって結果も異なっています。
今回は加熱時間が短い実験のため、実際焼き菓子に使った際の厳密なポリフェノール量とはいえませんが、特に白桃をタルトやコンポートにする際は煮汁を少なくし、果肉中に含ませるようにしたほうが良さそうです。
参考:
果実ポリフェノール量および抗酸化活性への電子レンジ加熱,湯煮加熱(ブランチング)の影響
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