ブルゴーニュの頂点“ミュジニー”の白ワインについての秘密

“ミュジニー”は赤ワインが有名ですが……

フランス・ブルゴーニュのワインと言えば赤ワインが有名ですが、コート・ド・ニュイ地区のシャンボール・ミュジニー村の特級畑(グラン・クリュ)であるミュジニーでは、実は白ワインもつくっています。

法律上トップカテゴリの区分ではシャンボール・ミュジニー村の白ワインを出せないことになっているものの、ミュジニーの畑のみ赤ワイン・白ワインの両方をつくることが認められているのです。

しかし、1993年を最後にグラン・クリュの名を冠したミュジニーは市場から姿を消し、94年から3ランクも格が落ちる「ブルゴーニュ・ブラン」の名前でリリースされるようになりました。

特級畑のワインがなぜ?

その理由は、ワインをつくるブドウの木の植え替えが始まったから。

そもそも造り手のこだわりで“高級”とされるワインは、ある程度樹齢がある木から採れたブドウからつくられることで素晴らしい味を生み出します。

これはブドウの木の根が下へ下へと伸びることで、年々吸い上げるミネラルや栄養などが増え味に厚みを持たせるためです。

それゆえに、樹齢の高いブドウの木にこだわりのある造り手コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエは、植え替えで若い樹齢のブドウの木から採れたブドウでつくったワインを、格の低いブルゴーニュ・ブランとしてリリースしました。

ブドウの木の年齢ってそんなに大事?

ブドウの木は樹齢3年を過ぎてやっとワインづくりに適した果実をつけると言われています。

若い間は木が成長をしたいがために、果実ではなく樹木に優先的に栄養を回そうとします。そして20年を過ぎた頃から、収穫量は減るものの果実に優先的に栄養を注ぐのだそうです。それゆえに濃縮しよく熟れた果実がつくられ、若い木のブドウとは比べ物にならないほど深みや奥行きがあり壮大なワインが生まれます。

オーストラリアのバロッサでは、ヨーロッパと違いブドウの木を死に至らせるフィロキセラ禍の影響がなかったために、樹齢100年を超えるブドウの木も。

ワイン生産者組合が「バロッサ古木憲章」として古いブドウの木を樹齢によって細かく表記するようになったことからも、どれほどまでに味わいの違いがあるのか窺えますよね。

ブルゴーニュのワインの格とヴォギュエ

ブルゴーニュのワインの格は上から特級畑、1級畑(村名+1er Cru)、村名、地方名となっています。村名の中には自信のある造り手が畑名を記載することもあります。ミュジニーの所有者であったヴォギュエ伯爵が1987年に亡くなるまで、1級以下のワインはつくることが許されていませんでした。

ブドウ樹が植え替えられたことによって、特級畑の名であるミュジニーの白ワインを意味する特級ミュジニー・ブランから、1級・村名を超えて地方名のみでリリースされたことは英断以外の何者でもありません。

特級ワインと地方名のワインの価格は、市場では雲泥の差があります。格できっちり値段が決められているわけではないものの、特級ワインの値段で市場に出すことはできないのです。土壌やブドウの木に対する手入れといった手間に代わりはないため、造り手の大きな痛手になったことでしょう。

ただし元々素晴らしい造り手であるヴォギュエのワインは需要が高いため、ミュジニー畑でつくられたブルゴーニュ・ブランは地方名ワインにはありえないほど高値で取引されています。

ワインの産地にはそれぞれに多彩な歴史があります。ミュジニーのほとんどはピノ・ノワールが植えられていますが、ほんのわずかだけ白ワイン用のシャルドネが植えられています。

現在はブドウの木が25歳を過ぎ、ブルゴーニュ・ブランが「ミュジニー・ブラン」として復活する可能性があるのではないかと噂されています。世界中のワインファンが愛したミュジニー・ブラン。復活の日を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。

参考:
ラック・コーポレーション|コント ジョルジュ ド ヴォギュエ
コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ Comte Georges de Vogue|ワイングロッサリー
ワインのラベルにも時折見かけるヴィエイユ・ヴィーニュ(Vieilles Vignes)とは?
東京ワインライフ/Wine Room Tokyo : 【バロッサ古木憲章】~高い樹齢のブドウとワイン in オーストラリア~;The Barossa Old Vine Charter

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