「白ワインよりも赤ワインのほうが健康効果がある」と言われていますが……
健康になりたいのなら白ワインよりも赤ワインを飲むべし、と聞いたことはありませんか?
赤ワインは健康効果が高いとされる「ポリフェノール」が多い黒ブドウを使っていて、さらに醸造過程でポリフェノールをたっぷり含んだ果皮を一緒に発酵させるから…というのがその理由。
一方で白ワインは基本的に白ブドウを使っており、醸造過程も果皮は分離して果汁のみを発酵させます。そのため赤ワインのポリフェノールのように、フィーチャーされる要素が少ない白ワイン。
今回は端に追いやられがちな白ワインの健康効果について、解説していきたいと思います。
実は白ワインのほうが抗酸化力は高い
フランス人が相対的に見て飲酒・喫煙率が高く、飽和脂肪酸が多く含まれている食事を摂取しているのにも関わらず、冠状動脈性心臓病に罹患することが比較的低いという現象…いわゆるフレンチ・パラドックスは、かつて「赤ワインのおかげである」とされてきました。
しかし、「赤ワインのおかげ」とは一概に言えないかもしれません。実はポリフェノールの含有は赤ワインのほうが高いものの、その抗酸化能力は白ワインのほうが高いのです。
1997年には、悪玉コレステロールを発症の原因とする冠状動脈性心臓病に及ぼす効果について、「赤ワインの場合より時間はかかったものの白ワインの効力は同等あるいはそれ以上」という臨床結果が、ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学 運動医学研究所の内科医、クラウス・ユング博士によって発表されています。
殺菌力、消化促進、リラックス効果、さらに虫歯予防まである
そんな白ワインには抗酸化作用以外にも様々な健康効果があることが明らかになっています。
1. 殺菌力
従来から言われてきた赤ワインよりも強いとされる殺菌力。これに関しては実際にサントネージュ(株)が研究しており、「白ワインと生牡蠣を36度程度で接触させたら時間とともに菌数が低下した」という実験結果が得られています。
2. 消化促進
以下3つの側面を持つ白ワインは、消化促進効果にも期待ができます。
・嗅覚器官を刺激し消化酵素を含んだ唾液を分泌させる
・胃酸の生産を促す
・ホルモンの生産を促し脾臓と肝臓に働きかけて結果的に便通を良くする
3. リラックス効果
減ってしまうと欝病の原因となるセロトニン。白ワインにはセロトニンの分解を妨げると同時に、ワインの芳香のアロマテラピー効果によってリラックスできるという側面もあります。
4. 虫歯予防
意外に思われるかもしれませんが、白ワインは芳香による唾液の分泌で口内の食べかすを洗い流し、その殺菌力で虫歯の原因となる微生物を殺すことから、虫歯予防にも効果的なことがわかっています。
実は多彩で効力も高い白ワインの健康効果。
赤ワイン・白ワインを含めたワイン全体ですが、「1日2~3杯飲むことでさまざまな病気による死亡率が3割も減る」という調査が1998年に発売された疫学専門誌に掲載されたことも。これはフランス東部に住む中年男性34,000人を対象とした大規模な調査で、心臓病は35%、がんは18%~24%も死亡率が減少していたそうです。
飲み過ぎることなく1日に適切な量のワインを飲んで健康を目指してみるのもいいかもしれませんね。その際にはぜひ白ワインにも注目してみてください!
参考:
安くて旨い! ワイン図鑑 (ワールド・ムック1003)
2016 日本ソムリエ協会教本(一般社団法人日本ソムリエ協会)
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