梅干しが腐る!?
腐らない食物の代表と言えば梅干しですよね。けれど、実際に梅干しを購入してみると、パッケージ裏には消費期限が記載されていることがあり、疑問に感じたことがあるという人は多いのではないでしょうか。
実際にパッケージを開封すると手や空気に触れることになるから、販売会社が懸念して設定した「ほとんど気にしなくてもいい」消費期限である……なんていう噂もされるほどですが、実は最近の梅干しは昔のものとは違い腐る可能性があるのです。
そもそも梅干し自体が腐りづらい
とは言っても、その他の食品に比べて梅干しはとても腐りづらいという性質を持っています。その理由は、梅干しに含まれる水分に秘密がありました。
通常、食物に含まれる水分には2種類あります。食品の生物と化学的に結びつき蒸発しにくい結合水と、食品と結合しづらく自由に動くことのできる自由水です。結合水は蒸発しにくく、マイナス30度にならないと凍結しません。微生物は自由水によって増殖し食品を腐らせてしまいます。
梅干しが水分を含むのに腐りづらい理由は、結合水だけを残し自由水をほとんど含まないからです。
昔の梅干しは腐らなかった
食物の腐敗菌は塩分濃度20%を超えるとほとんどが死滅してしまいます。しかし、最近スーパーで売られている梅干しは、食べやすさから塩分濃度が8%ほどに抑えられて添加物を多く含んでいることが多いようです。
一方で昔から語り継がれている方法で漬けられた梅干しは、長期保存を目的としている場合が多く塩分濃度も高く設定されています。
そして、塩分濃度が20%を超えるものについてはほとんど腐らず、古いものでは100年前のものも食べられるそう。
自家製梅干しをつくる場合は塩分濃度20%以上がオススメ
つまり、梅干し自体は腐りづらいものの、塩分濃度が低めに設定されている最近の梅干しは消費期限に注意が必要。また、自家製の梅干しをつくる場合は、塩分濃度を20%以上にすることで長期の保存が可能になります。
科学的に解明することが難しかった時代でも、ちゃんと長い間保存できる塩分濃度が伝承されてきているなんて、昔の人の知恵を感じますよね。
冷蔵庫の中に長い間手をつけていない梅干しがあったら、その塩分濃度にちょっと注意してみてくださいね。
参考文献:『科学でわかる 料理のワザとコツ』雑学能力研究所
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