なぜ抹茶スイーツが流行るのか?
連日新商品が発売され、大人気の抹茶スイーツ。とくに夏が近付いてくると、コンビニのスイーツコーナーや菓子店にはひんやりとした抹茶スイーツが陳列されます。いまや「流行」というよりも「定番」と化している抹茶スイーツ。
しかし、なぜこんなにも抹茶スイーツが人気を博しているのでしょうか?
ヘルシーなことや抹茶の健康効果については謳われていますが、どんなに健康効果が高くともスイーツとしておいしくなければここまで人気を博することはないように思えますよね。こと抹茶スイーツに関しては、「新しいおいしさである」と感じた人が多いからこそ流行し、健康効果はプラスαの効果として働いているのではないでしょうか。
今回は「味覚」という観点から抹茶スイーツ人気の秘密に迫ってみます。
生クリームと抹茶クリームの味比較
従来の鉄板人気である生クリームと、人気の抹茶クリームを味覚センサーレオで分析してみると、面白い結果が見えてきました。
生クリームは甘味に特化しており、次いで旨味。ほぼ「甘味+旨味」の構成になっています。
対して抹茶クリームは甘さは生クリームに加えて控えめであるものの、生クリームを超える旨味があり、苦味も加わっています。チャートを見ると、「甘味+旨味+苦味」のバランスが良く、生クリームよりも深い味わいになっていると言えるのです。
生クリームのケーキを食べていると、どうしてもフルーツの酸味やコーヒーの苦味を足したくなりませんか?
私は、フルーツの少ないショートケーキを単体で食べろと言われたら、残してしまうかもしれません。反対に、抹茶クリームは単体でも飽きずに食べ続けることができます。それがひとつで甘味・旨味・苦味の3役を満たしてくれるからだったと思うと、「なるほど」と言わざるを得ません。
抹茶スイーツがここまで流行した理由
では、なぜ抹茶スイーツがここまで人気の商品になったのでしょうか。その秘密は”人の味覚”にありました。
人の味覚の性質として、「なじみのある味+ちょっと新しい味」が好まれる傾向にあります。
人は、全く新しい味の食べ物に対しては本能的な警戒反応が発動し、「おいしくない」と感じるようになっているのですが、従来慣れ親しんでいる味覚に新しい味を加えたものは受け入れられやすく、「新しいもの」として人々の注目を集め、好まれるようになっていくのです。
では、抹茶クリームでの「なじみのある味」とは一体なんなのでしょうか?
味博士はこう語ります。
抹茶クリームの「苦味+旨味」という組み合わせは、日本人が親しんできた飲み物、お茶があります。
お茶に親しんでいるがゆえ、苦味+旨味に甘味が加わった味も、そこまで奇異に感じず、新しい美味しさと捉えられるのではないでしょうか。
「お茶」に馴染んできた日本人が、抹茶スイーツを好むようになる…この流れは自然なことだったのかもしれません。
「お茶」という日本人が自然に口にする味(苦味+旨味)に、新しい味覚(甘味)が加わって「新しいもの」として流行したと考えると、ここまで多くの人に受け入れられ、大人気になった理由も頷けますよね。
「なじみのある味+ちょっと新しい味」…次に流行するのはどのような味覚なのでしょうか?