コーヒーっていいですよね。
コーヒー中毒という言葉があるように、愛好家が多いコーヒー。あの独特な香り、味。甘いチョコとコーヒーの苦みが合いまったときの幸せたるや…最高ですよね。
ブラックコーヒーを飲んでる時なんて「自分って大人になったな」なんて思ってしまいます。
今や何種類ものコーヒーメーカーが発売され、家でもプロ並みの美味しいコーヒーが飲め、豆からこだわってます!というかたも多いはず。しかし、そんなコーヒーの歴史やコーヒーを使った怪しい実験が行われていたことについてはみなさん、ご存知ですか?
考えてみればあんな真っ黒で苦い液体をなぜ飲もうと思ったのか?誰が飲んでみようと思ったのか?
そこには、いくつかの伝承がありました。
眠気覚まし?薬的効果? コーヒーの隠れた伝承と臨床結果
コーヒーがいつ頃から人間に利用されるようになったかははっきりしておらず、伝承として残っているのみのようです。
その内容は以下のとおり。
その1:イスラム教の聖職者が発見した説
モカ王の娘の病気を治したにもかかわらず、王の娘に恋をしたことが理由で山中に追放されてしまったイスラム教の聖職者であるシークオマール。その山中で、小鳥がコーヒーの赤い実を食べ陽気にさえずっているのを見つけたオマールがその実をスープにし飲んでみると、たちまち爽快な気分になり元気がわいてきたそう。そのころ街では病気が広まり人々を苦しめていたところ、オマールが王の娘の病を治したことを思い出した人々がオマールを探しに山へ。オマールが人々にそのスープ(コーヒー)を飲ませると、人々は次々と気分爽快になったというもの。
その2:ヤギが発見した説
エチオピアのヤギ飼いの少年カルディが、ある時「飼っているヤギが興奮して飛び跳ねる」ことに気づいて修道僧に相談したところ、ヤギがコーヒーの赤い実を食べたことが原因とわかり、修道院で眠気覚ましとして利用されるようになったというもの。
その3:イスラム律法学者が広めた説
イエメン共和国のアデンにてイスラム律法学者シェーク・ゲマレディンが体調を崩した時、以前エチオピアを旅した際に知った気分が高揚するというコーヒーの効用を思い出し、取り寄せて試してみると、そのとおり気分が晴れ、体調が回復。さらに彼はコーヒーの効用の中でもその覚醒作用に着目し、眠気を覚ますことが必要な学者、職人、夜旅する商人へ勧め、飲用が人々へ広まったというもの。
文字による記録は900年頃のアラビア人の医師ラーゼスが最初と言われています。彼はコーヒーに消化や強心、利尿作用の効果があると薬理効果を認め臨床結果も残されており、実際患者に消化促進などの効果を期待してコーヒーの種子の煮出し汁を飲ませていたようです。
コーヒー伝承のようにコーヒー飲んで目を覚まそう!なんてかたも多いと思いますが、コーヒーの飲用が広まっていくと同時に、「コーヒーを飲みすぎると倦怠感、麻痺状態、なんと憂鬱症まで招く」というコーヒー有害説もささやかれ始めました。
そして、その有害説を信じてある国の王が突拍子もないことを始めます。
死刑囚を使った怪しい実験
18世紀のスウェーデンの国王グスタフ3世は、コーヒーの有害説が本当か証明するため、1人の死刑囚に大量のコーヒーを毎日飲ませ、体に害があるか試しました。
どうやらグスタフ3世自身もコーヒーの苦さが体質に合わず「飲み続けると徐々に体が弱って死んでしまう毒だ」と思い込み、有害説を信じてしまったとか。
それにしても…なんたる奇妙で怪しい実験。
結果はというと、当時平均寿命が40歳ぐらいという時代に、その死刑囚は80歳まで生き延びたのです。
しかも観察し続けていた医者が先に亡くなり、なんとグスタフ3世までもが実験結果を見とどけることなく、46歳で死刑囚より先に亡くなってしまいまいた。
これが本当の本末転倒ですね。
今の日本の平均寿命は男性が80歳、女性が86歳といわれています。もしグスタフ3世が死刑囚にした怪しいコーヒー実験を実行したとして、平均寿命が40歳の時代に80歳まで生きられたとすると…
現在の寿命で換算してみたら…160歳?!
ちなみに怪しいコーヒー実験は1つだけではなく、フランスの小説家バルザックが1834-37年に渡って執筆した「風俗研究」のなかでは、イギリスで実施された、これもはやり死刑囚1人に「コーヒーだけを与えてどれくらい生きられるか」を試したという実験を紹介しています。結果はコーヒーだけで2年間生きたそうです。
「この結果、信用できない」の代名詞のような実験結果ですね…
いろいろな伝承や怪しい実験に使われてきたコーヒー。あの独特な香りとグスタフ3世が嫌った苦みを怪しいエピソードとともに満喫しながら、春の優雅なひとときをお過ごし下さい。
さらにコーヒーの文化に浸りたいかたはこちら:【味コラム】コーヒーの美味しさも、味覚の相性のおかげ。
参考:コーヒーの歴史