高カロリーと肥満は必ずしもイコールではない
一般に、高カロリーな食べ物が原因で肥満になるという定説があります。減量を考えている人の多くが、まず摂取カロリーを摂取しようとするのは、自分の心の内にこうした定説が定着しているためではないでしょうか。
しかし、前回の記事でも指摘したとおり、ファーストフードやソフトドリンクなどの高カロリーな食べ物とBMIとの間に因果関係は存在せず、高カロリーな食べ物の摂取を控えただけで体重が落ちるかと言えばそうではありません。
なぜ高カロリー食=太るなのか
肥満大国であるアメリカの食べ物と言えば、ハンバーガー、甘いドーナツ、ステーキなど、どれも高カロリーなものばかり。確かに、これらの食べ物がアメリカ人をぶくぶく太らせているのかもしれません。
だからといって高カロリー=肥満と直結するのは大きな間違いです!
あなたはアメリカ映画などで、日本のものとは比べものにないほど大きなパッケージの食品が陳列棚に並んでいるシーンを目の当たりにしたことはありませんか?
アメリカ人はハンバーガーやドーナツといった高カロリー食を一度に大量に摂取する傾向にあります。
アメリカ人が太る原因は、「高カロリー食」ではなく「高カロリー食を大量に食べる習慣」と考えるのが妥当であるとも言えるのです。
肥満の原因は意外なところにあった!
それでは、体重が落ちない原因はいったいどこにあるのでしょうか。
ダイエットを経験したことのある人のなかには、「一度太ってしまったら終わり!その後は高カロリー食を控えても痩せる気配がない…」そんな現実をひしひし感じている人も少なくないでしょう。
一度太ると体重が落ちない原因としては、自律神経の働きが鈍ってしまっている点が挙げられます。
自律神経系が正常であれば、汗をかく時に無意識のうちに働く交感神経と、身体がリラックス状態にある時に働く副交感神経が交互に切り替わるようになっています。
ところが、肥満の人の場合、自律神経系が正常に働いていません。
交感神経と肥満との関係について示した論文で有名なのが、アメリカの肥満学者、ジョージ・A・ブレイ博士の論文です。ブレイ博士は、1991年8月、アメリカ栄養学会誌「The Journal of Nutrition」にて、肥満者に共通する4つの特徴を明らかにしています。
それは、「異なる原因(視床下部の異常、遺伝、食生活)により肥満状態となった動物モデルを観察した結果、交感神経の機能低下・グルココルチノイドを含む副腎皮質ホルモン作用の亢進・過食・身体活動の低下といった特徴が共通して見られた」というもの。
摂取カロリーを基準よりも少なくしたにもかかわらず、肥満が維持されたままの状態が続く原因は、自律神経の低下によって摂取したエネルギーが消費されにくくなっていたからなのです!
ちなみに、ダイエットの味方である交感神経の働きについては、運動を通じて活発化されます。
ダイエット中のそこのあなた!高カロリー食を減らせばいいと思っていては、なかなか痩せられないかもしれません。摂取カロリーを減らすことのみにとらわれず、適度な運動を取り入れるなど、生活習慣にも目を向け、改善に努めることを心がけましょう!