銀杏中毒の原因物質「チルビリドキシ」なんてものは存在しない

“銀杏中毒を起こす物質”がなんかヘンだ

秋の味覚の一つである銀杏。この季節は旬の食材として和食にも頻繁に使われますよね。ただし銀杏は、食べ過ぎると中毒症状を起こすことが知られています。

その原因は、銀杏に含まれる成分にあるようなのですが…「銀杏 中毒」と検索すると、幾つかのサイトで不思議な成分名が出てきます。一番上に出てくるキュレーションサイトの解説にはこうあります。

“チルビリドキシ(MPN)という物質がビタミンB6の欠乏症を起こし、痙攣を起こす”。

ふむふむ、と思いつつも、長年サイエンス畑で過ごしてきた身としてはこの「チルビリドキシ」という名に違和感を覚えるわけです。


化学物質の接頭語には一定の法則があるのですが、「チル」から始まるものは見たことがありません。さらに略称が「MPN」とMから始まってる割には「チ」から始まっているので変に思います。「MPN」の方が正しいのであれば、実際のところは”メチルなんたらかんたら〜”なのだろうなと察しがつきます。

さらに、「キシ」で終わるのも不自然です。「ヒドロキシ酸オキシダーゼ」のように”なんとかキシなんとか”なはずです。または、中毒を起こすということで毒性のある物質ならば、フグ毒の「テトロドトキシン」のように毒を示す「-toxin」で終わることが予想されます。

このようなぼんやりした推測が脳内で行われたのちに、「チルビリドキシ wiki」と調べてみました。もちろん、wikipediaによる解説ページはヒットしません。

このヘンテコな名前のチルビリドキシなんてものは存在しないのです。

間違った情報に気をつけよう

しかし、銀杏に中毒症状があることは事実です。 きちんと調べると、正しくは「4-O-メチルピリドキシン(MPN)」または通称「ギンコトキシン」という名称であることが分かります。推測通りのお名前がついていました。

もちろん、「銀杏に中毒性がある」と述べる記事で一番言いたいのは銀杏に中毒性があることであり、メチルなんたらトキシンの名前は一般の人にとっては瑣末なことかもしれません。しかし、記事を書いたりレポート課題や論文作成をする時には、こうした間違った情報を載せてしまわないよう気をつけたいですね!

 

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