「カフェラテで辛さが消える」という噂は本当か?
先週の記事では、女子大生「味見(みみ)ちゃん」による協力のもと、からしを食べた後にカフェラテを飲むと、牛乳や水を飲んだときよりも辛さが緩和されることが実証されました。
今日は、カフェラテが辛さを抑えてくれる理由を味博士が解説します!
辛さ緩和のキーワードは「乳化」
カフェオレがからしの辛さを抑えるのには、「乳化」という現象が関係しています。乳化という言葉に、聞き覚えはありませんか?中学や高校の理科の授業で習った記憶が、頭の片隅にあるのではないでしょうか。
乳化とは、水と油が混ざり合う現象のこと。普通は混ざり合わない水と油に、水と油を混ぜ合わす働きをもつ界面活性剤(乳化剤)が加わると、乳化が生じます。油(下図黄色)は乳化剤(下図水色)に包まれ、水と混ざり合うのです。
牛乳やアイスクリームも、乳化剤で油を包み、水に溶けた状態です。反対に、バターやマーガリンは、乳化剤で水を包み、油に溶かしています。
「カフェラテが辛さを緩和する」科学的根拠
ようやく本題の解説です。実は、カフェラテも乳化した食べ物の一つ!からしを食べた後にカフェラテを飲むと、口の中に残ったからしがカフェラテに混ざりますよね。カフェラテはからしと混ざると、乳化が壊れて水と油に分離するのです。カフェラテは、非常に不安定な状態で乳化しているため、他の物質が入ると、乳化が壊れてしまうのです。
すると、からしがカフェラテ由来の油に溶けて辛い成分が油でコーティングされたような状態になり、舌は辛さを感じにくくなるのです。
牛乳「私じゃダメなの?」
辛みをおさえるのにカフェラテが良いなら、同じく乳化した物質である牛乳でも良いのでは?と思う方もいらっしゃると思います。
確かに牛乳も乳化しているのですが、カフェオレより乳化した状態に安定感があるのです。このため、からしが来ても乳化が壊れる割合が減ります。一方でカフェオレは乳化の度合いが不安定なので、からしはカフェラテの方によく溶け、辛さをより緩和してくれるのです。
辛い物を食べた時は、カフェラテを飲んで、辛さが消えるのを実感してみて下さいね!