■冬はついつい甘いものを食べがち
そしてそれと同時に、甘いものを食べたくなります。
どうして人は、寒いと甘いものを欲するようになるのでしょうか?
実はその答えは、人肌が恋しくなるのと同じ理由なのです!
一体どういうことでしょうか?
■甘いものを欲するとは
まず、そもそも『甘いものを欲するとはどういうことなのか?』を確認しておきましょう!
ヒトは、体が必要とする栄養素を含む食べ物を自然に食べたくなるように出来ています。
つまり、「○○を食べたい」という欲求にはそれなりの理由があるのです。
では、甘いものを食べる事でどんな栄養素を摂取できるのでしょうか?
甘いものの例として、チョコレートを考えてみます。
日本で発売されている一般的なチョコレートに含まれる栄養素は以下のような割合で含まれていると言われています。
このグラフから、チョコレートは主に炭水化物と脂質で出来ていることが分かります。
同様に、多くの「甘いもの」は、炭水化物と脂質で出来ています。
このため、甘いものを欲するということは、体が炭水化物(糖分)と脂質を必要としている証拠だと言えるでしょう!
■人肌を欲するとは
では、「体が炭水化物と脂質を必要としている事」と「人肌が恋しいこと」には、どんな関係があるのでしょうか?
「人肌が恋しい」についても、少し考えてみましょう。
人は古来より、寒いときは身を寄せ合って温め合って暮らしてきました。
このため、寒いと人肌を求めるようになるのは、寒さによる体温低下から身を守る生存本能の一種だと言えます。
つまり、「人肌を欲する」ということは、体を温めるものを欲している証拠なのです。
■共通点は、”体温をあげること”
実は、「甘いものを欲すること」と「人肌を欲すること」の共通点は、「体を温めるものを欲している」という点にあるのです!
人肌にふれれば、体の外から熱をもらうことができます。
一方、甘いもの、すなわち炭水化物と脂質を食べると、体の内部で熱を逃がさないようにすることができるのです。
体が「サムイ!」と感じると、皮膚の血管を作っている筋肉に、「血管を収縮せよ!」と指令が送られます。
この血管収縮のときに、炭水化物と脂質が必要となってくるのです。
具体的には、筋肉は血管収縮のエネルギー源として、糖分(グリコーゲン)が分解されてできるATPと、脂肪が分解されて出来る脂肪酸の2種類を利用します。
つまり、甘いものを欲するとは、「体を温めるために血管を収縮させたいから、エネルギーをくれー!」という体の叫びなのでした。
人肌が恋しくなり、甘いものが食べたくなる。
これはどちらも「体を温めたい」という生存本能が作った欲求でした。
体温が下がると、免疫力が低下して風邪を引きやすくなります。
もちろん食べ過ぎはよくありませんが、身体の欲求に素直に従うことも、健康でいるためには大切なことですよ♪
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