イギリス政府は、子どもや青年期の肥満問題を解消するためにこれまでも様々な手段を講じてきました。
肥満への対抗策のひとつが、飲料に含まれる砂糖に課される「砂糖税」。2018年の春に導入されたこの規制によって、大手飲料メーカーのドリンクからも、糖分が減少するという成果をあげています。
これにつづき、今度はスーパーマーケットのレジ周辺に配置されているお菓子の追放が始まります。
対「肥満」へ新たな戦略 標的はスーパーとテレビ!?
食べ物はもはや、目をつぶっていても手の届くところに存在するものとなり、のべつまくなしにそれらを食べ続ける子どもたちのあいだでは、肥満だけではなく糖尿病も大きな問題となっています。
また、子どもたちの目を引くアニメのキャラクターがパッケージに描かれていることも、子どもたちが安易にお菓子を手にしてしまう要因のひとつと言われてきました。
そこで、保健大臣のジェレミー・ハレントは、対「肥満」の新戦略のターゲットをスーパーマーケットとテレビに向けました。
具体的な案とはこうです。
- 2個以上でお買い得パックとなっているお菓子の販売の禁止。
- マーケティングのプロたちが「マジックゾーン」と呼ぶ、顧客が集中しやすいエリアでのお菓子の販売の禁止。
- 16歳以下のエナジードリンク販売禁止。
- 午後9時以前の、砂糖を含んだ商品のテレビCMの禁止。
これは、「砂糖税」と双璧をなす強硬政策といえます。
大臣はこれらの規制を2020年をめどに整備したいと発言していて、すでにいくつかの企業は将来を懸念してジャンクフード生産業者との連携を断念したとも伝えられています。
そして、2番目の「レジ付近からのお菓子の撤廃」。レジ前で順番を待つ間、ついつい手に取って買ってしまう、消費者にとって「魔のゾーン」からジャンクフードを撤退することの意義は大きいでしょう。
アニメのキャラクターが宣伝するジャンクフード
ここ数十年、ジャンクフードと呼ばれる栄養価が低い食品と、アニメのキャラクターの組み合わせは当たり前のようになってきました。
欧州消費者機構(Beuc)が欧州の13ヶ国で実施した調査によると、世界保健機関(WHO)が「子どもが食するのに適さない」とした食品のパッケージの多くにアニメのキャラクターが描かれていたそうです。
対象となった100商品のうち、わずか1商品だけが子どもたちに愛されるキャラクターと健康的な野菜と果物の組み合わせでした。
残りは、高脂肪と過剰な糖分と塩分のために、子どもの健康にはふさわしくない食品であったと報告されています。
また、別の研究によれば、子どもたちはテレビでお菓子や食べ物のCMを見た14分後にそれを欲するということが明らかになっています。広告の有効性は、時に健康を害することにつながるんです。
参考:
Gb, basta con gli snack e i dolciumi alle casse dei supermercati: un altro passo nella battaglia contro l’obesità
L’Inghilterra dichiara guerra al cibo spazzatura, via anche gli snack alle casse
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