ファストフードに対して唱えられる、伝統的な食文化や質を重視するというスローフードという考え方。そこから派生した、生活の質高め人生をゆっくり楽しむという「スローライフ」。
そして次に注目されるのは、「スローコーヒー」かもしれません。伝統的なコーヒーの味を楽しむ動きがヨーロッパで見られています。
ドリップ式vsエスプレッソ、あなたはどっち派?
2018年5月、イタリアのミラノで「カフェ・フェスティバル」なるものがはじめて開催されました。このイベントはコーヒー文化の造詣を深め多くの人にコーヒーへの関心をさらに持ってもらいたいという主旨で、コーヒーの愛好家、コーヒーマシンや焙煎機の生産者とその関係者、コーヒー販売業者など1万人が参加。
その中で話題になったのは、本来のコーヒーへの回帰です。昨今は、シロップやシナモン、キャラメルや生クリームを使ったコーヒーのバラエティが飛躍的に増えました。
エスプレッソを愛好するイタリアやスペインの「バリスタ」とよばれるコーヒーのプロは、アングロサクソンの国やアメリカで愛される「ドリップ式」のコーヒーは、コーヒーが持つアロマをはじめとする良き特徴を無駄にしていると懐疑的な人が多いです。
しかし、南欧で愛好される「エスプレッソ」はバールのカウンターで立ち飲みし、まさに一口ですすって終わりというのが特徴で、ドリップ式のコーヒーはリラックスしてコーヒーの味や香りを楽しめるというメリットがあると反論する人もいます。
いずれにしても、若い世代に人気の新しいタイプのコーヒーではなく、中高年以上の人が愛するクラシックなコーヒーへの回帰が高まりつつあります。この潮流を、「スローフード」や「スローライフ」にちなんで、「スローコーヒー」と呼ぶのだそうです。
「コーヒー」ではなく「カフェイン」の効果
最近、医学雑誌『Journal of Psychopharmacology』に掲載された記事では「カフェインの効能により、チームワークのパフォーマンス力が向上する」とあります。この研究を行ったのは、オハイオ大学とカリフォルニア大学です。
この研究では、72人の学生を二つのグループに分けて、それぞれ議論を行う前と後にコーヒーを飲んでもらいました。そして、双方のグループに「経済的不平等」や「占領問題」といった非常に論争的なテーマを議論してもらったのです。
その結果、コーヒーを議論の前に飲んだ人のほうが、あとで飲んだ人よりもより建設的で論理的な意見を述べたと評価されました。オハイオ大学の研究者アミット・シンは、「コーヒーを飲むことによって、緊張状態は高まります。
しかしそれと同時に、他人の意見をより理解し、より深くテーマを分析し、言葉の使い方に注意を払う傾向があることから、議論を深めることで目標を達成する確率が高まることが判明したのです」と語っています。
ちなみに、オハイオ大学で行った2回目の実験では、61人の学生の半分にカフェイン入のコーヒーを、半分にはカフェインなしのコーヒーを飲んでもらい、同じような議論を戦わせました。
結果は明白。カフェイン入のコーヒーを飲んだ学生たちの発言は力強く、注意力と集中力もあることが明らかになったのです。コーヒーではなく、「カフェイン」がパフォーマンス力を向上させる可能性が高くなったと記事では伝えています。
「スローコーヒー」を生活に取り入れれば、こうしたカフェインの恩恵を受けられるかもしれません。普段、シロップや生クリームをふんだんに使ったコーヒーを飲んでいる方は、従来のコーヒーも試してみてはいかがでしょうか。
参照元
Troppe mode sul caffè, ritorniamo al classico espresso. Parola del campione italiano dei baristi
Quella tazzina di caffè che migliora il lavoro di squadra
Milano Coffee Festival
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