卵や乳製品の欠乏する戦時中、アメリカの家庭で作られていた「war cake」。卵、バター、牛乳を使わずに作るこのケーキは今、ヴィーガンの人たちから注目されています。
ボイルドレーズンケーキ”Boiled Raisin Cake” 、プアマンズケーキ”Poor Man’s Cake(=貧しい男のケーキ)などとも呼ばれたこのレシピ事態は南北戦争の頃から伝えられていたようです。
第一次大戦中の文献では「war cake」の名が見られ、以降、大恐慌時代、第二次大戦と、物資が不足するたび、各家庭で作られる貴重なデザートとなりました。
今回はそんな「war cake」のレシピをご紹介します。
war cakeのレシピ
レシピは色々あるのですが、多くは最初に水、砂糖、レーズンを入れた鍋を火にかけ、シロップをつくります。代表的な一例を紹介します。
材料(パウンド型2本分)
・砂糖 2カップ
・お湯 2カップ
・植物油 小さじ2杯
・レーズン 1/2~3/4カップ
・塩、シナモンパウダー、クローブパウダー 各少々
・小麦粉 3カップ
・重曹 小さじ1(混ぜる直前に小さじ1の湯で溶く)
(アメリカのレシピなので砂糖が多めです。要調節!)
作り方
1. 砂糖、熱湯、油を鍋の中でかき混ぜます。
2, 1の鍋にレーズン、塩、シナモン、クローブを加えます。
3. かき混ぜながら加熱し、泡が立ち始めてから5分間弱火にして火からおろします。
4. コンロから外し完全に冷まします(※これがとても大事!)。
5. 冷めてから小麦粉と水で溶いた重曹を加えます。
6.よくかき混ぜたら、油を塗っておいた型に生地を注ぎ入れ、180度に温めておいたオーブンで1時間焼きます。
物資の欠乏する状況で考えられたこのレシピは、バターを植物油に、ミルクを水に、卵をベーキングパウダーに置き換え、高価な材料を必要としません。粉をふるったり卵を泡立てる必要がないので、手間も時間も省けるのが嬉しいですね。これらの食品にアレルギーを持つ人にも喜ばれそうです。
さすがにこれはちょっと物足りない……という人には、レーズンの量をずいぶん増やしたものや、くるみなどのナッツ類、レモンピールといったドライフルーツを加えるなど、数々のアレンジを加えたケーキもありますので、お好みに合わせてお試しください。
ただ、オリジナルのレシピは日本人の口には甘すぎるかもしれません。味見をしながら、砂糖の量も調節してみてくださいね。
参考:
『In the Kitchen with Heloise』(A Perigee book)