バウムクーヘン、ドイツでは単なる「地方のお菓子」?

3月4日はバウムクーヘンの日。この日は、今から100年前の1919年に、バウムクーヘンの老舗ユーハイムの創始者、カール・ヨーゼフ・ヴィルヘルム・ユーハイムが日本で初めてバウムクーヘンを販売したことが由来となっています。

これにちなんで、本日はドイツのバウムクーヘンについてご紹介します。

ドイツより日本のほうが人気?

バウムクーヘンはドイツ発祥。今はバウムクーヘンを売りにしたお店が並んでいるため薄れているかもしれませんが、元来バウムクーヘンといえば「ドイツのお菓子」というイメージですよね。ドイツの代表的なお菓子はバウムクーヘン…そう思っている方も多いのではないでしょうか。

バウムクーヘンは200年という長い歴史を持つ伝統的なお菓子です。しかし、実際にドイツでは日本ほどバウムクーヘンが大衆的ではない様子。一介の「地方オリジナルのお菓子」といった印象なんです。

筆者のドイツ人の友人には、バウムクーヘンを食べたことがないという人もいました。日本ではこうしたお菓子は買って済ませる人が多いのですが、ドイツではどちらかというと家でお菓子を作ることが多いため、工程の複雑なバウムクーヘンは広まりにくいのかもしれません。

棒に生地をつけ、その生地が落ちないように、かつ適度な焼き色になるよう棒を回しながら、ゆっくり作っていくバウムクーヘンを、家で焼くのは至難の技でしょう。ドイツの国家資格として、バウムクーヘン作成という試験科目を突破して得るマイスター資格もあります。

ちなみにバウムクーヘンの年輪、同一の文様は決して作れないそうです。

本場のバウムクーヘンは薄切りでいただく

日本ではさくさくふわふわした食感のものが人気のバウムクーヘンですが、本場ドイツのバウムクーヘンは、結構硬いものが多いです。アイシングやチョコレートでコーティングされているものは乾燥も防いでくれるため、日持ちもします。

ドイツでは国立菓子協会によってバウムクーヘンの定義が決められています。「ベーキングパウダーは使用しない」「油脂はバターのみ」などで、この基準をクリアしないと本物のバウムクーヘンだとは認められません。

お菓子の「ふわふわ」を手軽に作り出すものといえば、ベーキングパウダー。これを使用しないとなると、お菓子のふわふわ感には限界がありますね。

本場ドイツの硬いバウムクーヘンは、薄切りでいただくのが基本。日本のバウムクーヘンとは別物として考えた方が良いでしょう。

ただ、バウムクーヘンが銘菓とされるザルツヴェーデルのオリジナルバウムクーヘンは、かなり柔らかい食感だそうです。その分、日持ちも1週間程度なんだとか。

ドイツでは「柔らかさ」と「美味しさ」は直結しません。ハリボー、シュトーレンなどドイツには硬めのお菓子が多いですよね。

現在、日本で人気のバウムクーヘンは、日本人が独自に進化させた日本オリジナルのバウムクーヘン。日本人が自分たちにあわせて試行錯誤してきたからこそ、ここまで人気になったのかもしれません。

参考:バームクーヘン──その概観と家庭でできる調理法──

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