焼肉、ステーキ、ハンバーグ…牛肉はいつだって、私たちの幸せの源。どんなに疲れ切っていても、ジューシーな肉汁が滴るその塊を口にするやいなや、つかの間の安堵に包まれることでしょう。
そんな牛肉ですが、実は、生理学的に本当に私たちの元気の源になっていた可能性があるのです!
牛肉の摂取で、運動でヘタれるまでの時間が伸びる!?
牛肉は、食べると活力が湧いてくる気がしますが、実際のところどうなのでしょうか。
ハムメーカーである伊藤ハムの研究所で、牛肉のはたらきを調べるために、マウスを使ったこんな実験が行われました。
マウスのエサとして、牛肉、カゼイン(実験でよく使われる標準的なタンパク質)、牛脂、植物油の4種類を用意して、「牛肉+牛脂」「カゼイン+牛脂」「カゼイン+植物油」のいずれかの組み合わせで別々のマウスに与え、2種類の運動をさせました。一つは、マウスの足に体重の10%の重さのおもりをつけて沈むまで泳がせる運動。もう一つは、この水泳のあと、3分または30分の休憩を与えてから、落下するまで懸垂させる運動です。(どっちも鬼畜や…!)
その結果、牛肉+牛脂を与えたマウスの水泳時間は、カゼイン+植物油を与えたマウスよりも1分も伸びたのです。また、懸垂を続けられていた時間も、牛肉+牛脂を与えたマウスでは3〜5秒伸びました。つまり、牛肉+牛脂を食べることで、運動を続けられる時間が長くなったのです!カゼイン+牛脂の組み合わせでは有意な差はなかったことから、特に牛肉の赤身の部分に効果があると考えられました。
筋肉へのエネルギー供給を変える?
牛肉を食べたマウスはなぜ運動を続けられる時間が伸びたのか、詳しいメカニズムは残念ながらまだわかっていません。しかし、牛肉の中のなにがしかの成分は、筋肉へのエネルギー供給の仕方を変えている可能性があるようです。
筋肉を動かすときには通常、血糖や乳酸、脂肪をそのエネルギー源とします。今回の実験で、運動前後の「血糖」「乳酸」の量を測定したところ、カゼイン+植物油を与えたマウスの血糖と乳酸は大幅に減っていたのに対し、牛肉+牛脂を与えたマウスではあまり変化が見られませんでした。つまり、筋肉のエネルギーとして血糖や乳酸があまり使われていなかったのです。
それでは、筋肉のエネルギー源を何で補っていたのでしょうか。この実験を行なった研究者らは一つの可能性として、「脂肪をエネルギー源として優先的に使うようなったのかも?」と述べています。もし、牛肉を食べてから運動することで、本当に脂肪が燃焼できるなら…マジ牛肉万歳としか言いようがないですね!
日頃食事で牛肉を食べたら、体が疲れるまでの時間が長くなる…かどうかまでは分かりませんが、牛肉はおいしさ以上に私たちに元気をくれるのかもしれません!
参考:
牛肉の抗疲労効果について
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