病み上がりや、お腹が不調な時には、消化にやさしい食べ物を食べたくなりますよね。消化にやさしいといえば、おかゆやゼリーが定番ですが、これではほとんど糖分しかとれず、タンパク質や脂質などの必要な栄養素を摂ることができません。しかし、いきなり肉を食べるというのも、ちょっと重いのではないかと思います。そんなときにちょうどよい立ち位置なのが、魚です。魚は肉よりあっさりしていて、ビタミンやミネラルも豊富で、数日間の栄養不足を補うのにちょうどよいのです。
しかし、魚も調理法によって消化のされやすさが変化します。せっかくなら、なるべく胃腸に負担をかけない食べ方で食べたいですよね。一番消化にやさしい魚の調理法とはどんなものなのでしょうか。
9種の魚を人工的に消化させる実験
鳥取大学の研究者らは、フナを9種類の調理法で調理して、消化の環境を人工的に再現することで、魚の消化のしやすさを調べました。魚の調理法は以下のとおりです。
・生魚(そのまま)
・塩魚(30%の塩で15日間漬け込む)
・干魚(日中5日間乾燥)
・酢魚(30%のお酢に10分漬ける)
・蒸魚(94度で15分間蒸す)
・焼魚(七輪で14分焼く)
・炒焼魚(フライパンで9分間焼く)
・揚魚(165度で8分間揚げる)
これらの魚について、「ペプシン」と「パンクレアチン」という2種類の消化酵素を使って、3〜24時間消化させました。これらの酵素は、実際に人や動物の体の中で消化に関わっている酵素です。消化させたあと、特定の形になっている窒素の量を測定することで、消化のされ具合を測定しました。
その結果、最も消化率が良かったのは、生魚、煮魚、蒸魚、干魚であることが分かりました。反対に最も消化が悪かったのは、塩魚です。和食の定番である焼魚も、この中では消化の良い方には分類されませんでした。
もちろん魚の種類によって違いはあると思いますが、消化にやさしいものとして魚を食べる時には、お刺身や煮魚、酒蒸し、干した小魚のような形態の魚を食べるのが、もっとも消化にやさしいと言えそうです。反対に、塩漬けや焼魚はあんまりおすすめできなさそうです。
一般的に、火を通すと消化がよくなりそうなイメージがあるかもしれませんが、魚の場合は必ずしもそうとはいえなさそう。魚の場合は、蒸すや煮るといった、水と一緒に火を通すようなやり方が消化しやすくさせ、焼くや揚げるといった火の通し方は消化しやすさにつながらないようです。これは、魚のタンパク質の変性の違いが理由だと筆者は考えます。
水を使う場合、最高でも水の温度は100度程度にしかなりません。しかし焼くや揚げるといった場合には、それよりももっと高温になります。これが魚のタンパク質を凝集させることに繋がり、消化をさせにくくしているのではないかと思われます。
これから風邪を引きやすい季節が始まりますが、調子の悪いときに魚を食べるときには、ぜひ調理法を意識してみてくださいね!