「こんがりきつね色」好きですか?
フライドポテト、お好きですか?おいしいですよね。鉄板の上で焼かれたステーキ、たまらないと思いませんか?これら「こんがりきつね色」の食べ物が美味しいのは「メイラード反応」によって食べ物に「美味しさ」がプラスされているから。
実はこのメイラード反応、ある程度はコントロールすることでもできるんです。「メイラード反応」のコツを知ってあなたもぜひ「こんがり」マスターの道への第一歩を踏み出してみてください!
メイラード反応を理解して「こんがり」マスターの鍵を手に入れよう
第1次世界大戦が始まろうとする頃、フランス人医師・化学者のDr.メイラードはアミノ酸と糖を加熱して起こる反応を研究し、それが茶色くなることを発見しました。その後、研究は進み茶色になると旨味と香りが生まれることもわかったんです。
アミノ酸と糖分を、高温あるいは長時間かけて加熱すると……「メイラード反応」が促進されて豊かで深みのある美味しさが加わるという仕組み。なお、メイラード反応は常温でも起こりますが、155℃前後でもっとも活発化すると言われています。
たとえばフライドポテト。食材のたんぱく質はアミノ酸からできています。生のジヤガイモを高温で揚げるとジャガイモのたんぱく質と糖分が反応し、きつね色になってイイにおいが漂いますよね。
2つのプラスと1つのマイナスでメイラード反応が極められる
手に入れたメイラード反応の鍵を使いこなすにはコツがあります。食材にプラスするもの2つと、食材からマイナスするもの1つ。
まずphの値をプラス。メイラード反応はアルカリ性になるほど反応が促進されやすいので、重曹などでph値を上げます。重曹は市販の天ぷら粉などにも入っているメイラード反応の立役者で、肉を柔らかくする効果もあります。
次にプラスするのは糖分です。ジャガイモなど糖分の多いものは別として、肉など糖分の少ないものには焼く前に糖分をプラス。
足すものはこの2つだけです。
そしてマイナスするのは食材表面の水分。ペーパータオルなどでしっかりと水分を除くことで反応をスピードアップさせます。では実践してみましよう!
実践!メイラード反応でステーキオニオンスープ
実践編のメニューは牛ステーキとオニオンスープ。ステーキ肉は安いものでも大丈夫。さぁ、プラスマイナスのコツを使ってみましょう。
まず、オニオンスープに取り掛かりましょう。薄切りタマネギを30秒位電子レンジで加熱して水分をマイナス。重曹ひとつまみと砂糖ひとつまみでph値と糖分をプラスしたら油をひいた鍋で炒めます。
重曹は苦いので量に注意。普通は40〜50分もかかるあめ色タマネギが、スピードアップされたメイラード反応によって10分位で出来ちゃいます。ここに水を加えて塩コショウでオニオンスープが完成です。
次はステーキ。ペーパータオルなどで肉表面の水分をマイナスします。素早い加熱のため肉は常温で。そして焼く前に重曹をひとつまみパラパラ、ハチミツをひと刷毛してph値と糖分をプラス。熱々のフライパンで両面を焼けばメイラード反応完了です。
メイラード反応を利用した調理での注意事項はただ1つ、茶色は美味しいけど黒は美味しくないこと。加熱し過ぎには気を付けてくださいね。
これであなたも今日からメイラード反応マスターです。レベルアップした料理の腕前を存分に振るうも良し、グラス片手にメイラード反応のウンチクを語るも良し。ちょっとぐらい失敗してもメイラード反応を試す機会はたくさんあるはず。美味しさのメカニズムを知るって、楽しいものですよね。
参考:
※1 臼井照幸「食品におけるメイラード反応」「日本食生活学会誌」2617-10,2015
※2 「Make Beautifully Browned Fish Without Risk of Overcooking」
※3 高橋 智子 , 齋藤 あゆみ , 川野 亜紀 [他] , 朝賀 一美 , 和田 佳子 , 大越 ひろ「牛肉,豚肉の硬さおよび官能評価におよぼす重曹浸漬の影響」「日本家政学会誌」 53(4), 347-354, 2002-04-15
※4 「Mastering the Maillard Reaction | ChefSteps」
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