ワインの歴史は長い
新石器時代に醸造が始まったとされるワインは、非常に長い歴史を持つ飲み物です。そのため、その歴史のなかではいろいろな事件がありました。今回は20世紀後半に起こった対象的な2つの事件についてご紹介します。
世界のワインの常識が覆った「名誉な事件」
ワインといえば、ヨーロッパをイメージしませんか?キリスト教の布教とともに広がったワインは、現在でも「ヨーロッパのもの」という印象が根強いですよね。しかし時代とともにアメリカやチリのワインも台頭してきています。その先駆けとなったのが、1976年に起きた大事件です。
それは、ワインの本場パリで行われたテイスティング。
このとき、並み居る「ワインの強豪」を押しのけて、もっとも高い評価を受けたのは、なんと「カルフォルニアワイン」。カリフォルニアで1960年代に高品質なワインの生産が活発になったことがきっかけです。当時、まったく名前の知られていなかったカリフォルニアワインですが、ムートンやモンラッシェといった、押しも押されもせぬ名門のグランクリュを制して勝利。
「出来レースなんじゃないの?」と疑ってしまう方のために書いておくと、これはどの銘柄かわからないようにして行われたブラインドテスト。それにも関わらずアメリカ生まれのこのワインが勝ったというのは、それ以降のワインの世界を大きく変えるきっかけとなりました。
「不名誉な事件」、ワイン不凍液事件
ワインにとって不名誉な「不凍液事件」が起こったのは、1985年のこと。この年、オーストリアのワインに重大な欠陥があったことが分かりました。それは、なんと「ワインに不凍液をまぜていた」というものです。
不凍液とは水の凍結を防ぐための液体。自動車のエンジンの冷却水凍結を防ぐ際などに用いられます。飲用することで中毒、最悪死に至ることもある有害なものですが、これをわずかにまぜるとワインにとろみと甘味が増すということで、オーストリアのワイン農家がこれを入れたワインを販売したのです。
当時ドイツは、オーストリアからたくさんのワインを購入していました。しかしこの年、オーストリアではドイツに売るだけのワインを作るための高品質なブドウの量を確保できなかったそう。そこで酸っぱいブドウを使用しても甘くなるように、不凍液(ジエチレングリコール)を入れてごまかした……というのがコトの顛末です。
ヨーロッパでばワインをがぶ飲みしている方も多いでしょう。これに不凍液が混入されていたというのは恐ろしいこと。専門家のなかには、「これで亡くなった方もいるかもしれない」という見方をしている人もいます。その影響はもちろん日本にも及ぶこととなり、最近まで日本でオーストリアのワインは見られませんでした。
普段何気なく飲んでいるワインですが、種類もエピソードも豊富。ワインについてもっと知りたい方は、↓の記事も読んでみてくださいね。
抗酸化力は赤ワイン以上?! 白ワインの健康効果がスゴイ
ワインで水分補給!?フランス人のマラソンが美食すぎる
高級ワイン「貴腐ワイン」と「アイスワイン」はどう違う?