4月に入ってもなお、寒い日が続いておりますね。雪の降りやすい地域では、まだまだ白い世界が続いているのではないでしょうか。早く春になって欲しい!と思う方もいらっしゃると思いますが、実は「雪の中」は野菜の保存に適した環境なのです。
今日は、雪の中で野菜を保存すると、どんないいことがあるのかをお伝えします!
雪の中の環境は温度と湿度が優れている
チャンスは大雪が降り、雪が20センチ以上積もった時に訪れます。積もった雪は、温度と湿度の面で食品の保存に有利です。まず、雪は熱が伝わりにくいため、20センチ以上積もった場合、表面付近より下の部分は温度が0〜2度程度に保たれることが知られています。また湿度も95%程度であるため、食品の乾燥を防ぐのにうってつけなのです。
野菜を雪中保存すると起こる3つのこと
1)芯や茎などが甘くなる
これまでの実験で、キャベツや白菜を雪中で保存すると、芯や茎の部分の糖度が上がることが確認されています。たとえば、12月から3月にかけて保存したキャベツの茎は、糖度が4%から6%に上昇したようです。また、大根やニンジンも保存から40〜50日後に糖度が1%上がったようです。このような現象は、春に向けて花を咲かせるための植物の生理的なしくみが関係すると考えられています。
2)水分が増えてみずみずしくなる
雪中で保存していると、野菜が水分を吸収してみずみずしい食感になることが分かっています。これは甘さの増加と関係があります。細胞は常に、細胞中の溶液の濃度を一定に保つような働きがあります。甘さが増す、すなわち細胞中の糖分が増えると、通常よりも糖分濃度が高いことになります。そこで細胞は外から水を取り込むことで、濃度を元に戻そうとするのです。こうした働きによって、雪中の野菜は水分を多く含むようになるのだそうです。
3)良い香りや風味が増す
さらに嬉しいことに、雪の中で野菜を保存すると良い香りの成分が増え、不快な香りの成分が減るという傾向があるようです。例えば、ニンジンを12月から4月にかけて雪の下で保存した場合、ニンジンらしい香りの成分である「βカリオフェリン」の量は、12月の時点と比べて12.8倍に増え、逆に青臭いような匂いの成分である「サビネン」や「ミルセン」という物質の量が少なかったとの報告があります。
野菜の種類ごとに保存に適した期間や物質変化のピークが異なるので、詳しい貯蔵方法は調べたほうが良さそうですが、雪でテンションが上がる方も、うんざりしている方も、雪を有効活用してみてはいかがでしょうか!