辛味って何者?基本5味(甘味・旨味・塩味・苦味・酸味)との違い

辛味は味覚じゃない!

基本5味とは、甘味・旨味・塩味・苦味・酸味の5種類の味のこと。実は、それ以外の辛味や渋味などは、「味覚」ではありません。例えば基本5味は舌の上にあるセンサーである味蕾を構成する味細胞を介しての受容ですが、辛味は別のところから知覚します。

辛味は2種類に分類される

まず、味を感じるメカニズムから。食べ物が口に入ると、含まれる化学成分のいくつかは舌の上の味感知センサーの役割を持つ「味蕾」から味細胞に味が取り込まれます。

甘味であればブドウ糖、旨味であればグルタミン酸ナトリウムなどといった成分がこれらの味を示します。その後一次視覚野で嗅覚や視覚といった情報と統合され、その味がどのようなものかが判別されます。

しかし辛味は味細胞では受容されません。ではどこで感じるのかというと、温覚や痛覚などの「感覚」です。熱い、冷たい、痛い…そういった感覚を刺激して「総合的に感じる味」なのです。

辛味にはホット系とシャープ系があります。唐辛子などはホット系の辛味で、感じるのが遅いぶん持続性があります。熱に強いのがこのタイプ。

シャープ系はわさびなど口に含んだ瞬間に刺激を感じ、すぐに揮発して消えてしまうもの。熱に弱く、加熱すると辛味を感じなくなります。生姜などはホット系よりのシャープになります。

辛味の中毒性の秘密って?

「刺激」として感じる辛味ですが、もともとヒトには傷み=危険信号を避ける働きが備わっています。にもかかわらず定期的に辛いものを食べたくなったり、口の中がヒリヒリすると言いながら(Mでもないのに)激辛に魅了されてやまない人類がいるのは、なぜなのでしょうか。

まず、辛味は生体面でプラスの働きを持っています。辛味に含まれる刺激成分は体内の熱産生を促しますが、発汗によって体温が皮膚から逃げることで爽快感が得られます。食欲増進効果や腸からの栄養分吸収も促進。夏に食欲がないときでも辛いものを食べたくなるのは、こういった作用によるものと考えられます。

唐辛子の辛味成分であるカプサイシンには体内の脂肪を燃焼させるダイエット効果もあります。またカプサイシンを摂取すると脳から鎮痛作用のあるエンドルフィンという物質が分泌されます。

これは一言で言えば脳内麻薬。痛みや苦痛を和らげ幸福感が得られますから、中毒性があるのも頷けますよね。ストレスを感じたときに辛いものが食べたくなる人はこのエンドルフィンを欲しているのかもしれません。

また味覚と性格の関連性を見ると、辛味や苦味といった本能的に忌避される味を好む人はスリルを好む傾向にあります。生活がマンネリ化しないための刺激として、辛味を欲しているのかもしれませんね。

 

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