妊娠中の味覚変化
妊娠によって酸っぱいものが欲しくなるなど、食事の嗜好や味覚が変化するということはよく知られている話。ですが、妊娠中の味覚変化に関係があると言われていた「亜鉛」が無関係かもしれない…ということはご存知ですか?
今回は妊娠中の味覚変化の症状と原因について、改めておさらいしてみましょう!
ちなみに「え?亜鉛不足がどうして味覚に関係するの?」と思った方は、周囲にバレないようにこっそりこちらをお読みください→『あなたの味覚は大丈夫?ホントは怖い味覚障害』
妊娠中の味覚の変化・症状ってどんなもの?
1. 酸っぱいものが食べたくなる
梅干しやトマト、柑橘類、炭酸飲料など酸っぱい食べ物を好むようになった妊婦さんが一番多いのではないでしょうか?実際、90人を対象にした調査では酸味、塩味、甘味の順に好むようになったという結果が出ています。
2. しょっぱいものが食べたくなるor食べられなくなる
フライドポテトなどのジャンキーな食べ物を無性に食べたくなったというのはよくある話。また今まで食べていた味が薄いと感じたり、逆にしょっぱいと感じてしまう方も。塩味は妊娠後期に食べる量が増え、後期と産褥期に低下する方が多いようです。
3. 甘いものが欲しくなるor食べられなくなる
甘味に関しても、ケーキやあんこなどが欲しくなる方もいます。逆に、甘いものを食べて戻してしまったという妊婦さんも。人それぞれですが、妊娠中期に食べる量が増える傾向が。
科学的に証明されてはいないものの、ママが妊娠中に甘いものばかり好んで食べていたために生まれてきた子どもが「お腹の中がずーっと甘かったから、早く出たかった」と訴えたというケースもあるそう!
4. 口の中が苦い、乾燥すると感じる
口の中が苦い、まずいと感じる妊婦さんも多いです。それゆえ食後に嘔吐してしまったり、中には水も苦くて飲めない方もいます。半分以上の妊婦さんが自分の唾液が気になったり、口の中が乾燥すると訴えたという結果も。
5. 味覚を感じない
味自体を感じにくくなってしまった…という方もいます。何を食べても全く味を感じず、食欲が落ちてしまったという方もなかにはいるようです。
味覚変化の原因は?
実は、妊娠中の味覚変化の原因は未だ謎が多いのが現状。ただ以下のようなことが関係しているのではないかと言われています。
1. 塩分や摂取カロリーの増加によるもの
減塩食により尿中のナトリウムが減少することで塩味の感受性が高くなるのですが、妊娠中の味覚の変動も同じ仕組みではないかと言われています。現に、妊娠すると血流量が増えるので、体に必要な塩分量は相対的に増加します。また、つわりが落ち着いてくる妊娠中期に摂取カロリーが増える傾向にあり、これが味覚の変化に関係しているのではないかとも。
2. ホルモンバランスの変化に伴うもの
月経周期でもそうですが、黄体期には味覚の感受性が下がる傾向にあるようです。これは黄体期にたくさん分泌される「プロゲステロン」という物質に知覚を鈍くする作用があることや、プロゲステロンによる卵胞ホルモン受容体が減少することで味覚機能が低下するようです。
3. 口腔内乾燥によるもの
味覚障害の1つの原因に口腔内の乾燥が挙げられます。しかし、90人を対象にした調査によると、口腔内乾燥を訴えたにもかかわらず、実際に口腔乾燥がみられた妊婦さんはひとりもいなかったそう。口腔内乾燥を主な原因に挙げるのは、現状では無理があるかもしれませんね。
4. 亜鉛不足によるもの
こちらも味覚障害の代表的な原因のひとつですが、妊婦さんの血液中の亜鉛の濃度は妊娠中期から後期に低くなる傾向にあります。味覚障害の症状が出やすい妊娠初期の原因としては考えにくいのではないかという結論に至っています。
妊娠期の女性は十月十日という短期間で、一生のうちでもなかなか経験することのないほどの大きな味覚の変化を感じる方が多いと思います。しかし、妊娠期の味覚の変化についての研究はまだまだ進んでいないのが現状。今後の研究の成果に期待が高まります!
※妊娠時期に関しての補足
妊娠初期:0〜15週
妊娠中期:16〜27週
妊娠後期:28〜40週