ヒトと動物の味覚は異なる
ヒトの”味覚”は基本5味(甘味・旨味・塩味・酸味・苦味)から構成されますが、ペンギンは2種類、ネコは4種類?―どうぶつの味覚が面白い!にもあるとおり、実はヒトと動物の味覚は全く違います。
これは、イヌが喜んで食べるドッグフードを実際に食したことのあるかたなら「あるある」となるのですが、イヌが「超おいしい!」みたいに食べている高級ドッグフードでも、人間が一口頂いてみると味が薄くてまずい、と感じることがほとんどですよね。
今回フィーチャーしたのはニワトリ。九州大学高等研究員の川端二功氏らの論文をもとにお送りします。
ふだんはおいしく料理される側であるニワトリですが、彼らはいったいどんな味覚を持っているのでしょうか。
ニワトリの味蕾
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それでは実際に、ニワトリさんのお話を伺ってみましょう。
“味覚”の基本は味を感じるセンサーである「味蕾」があることが大前提。しかし、ニワトリさんの舌には味蕾がほとんどないらしいですね。味は感じるんですか?
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舌にはほとんどありませんが、口蓋部分と口腔底の上皮には存在しているので、味は感じますよ。孵化してから成鳥になるまでに味蕾の数にはほとんど変化がなく、これは孵化直後から味を感じることができるということになります。
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なるほど。ご自身の感覚値としてはいかがですか?
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論文で断定されていないことはお答えできません。
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ニワトリにも味オンチや味博士のような、味に鈍感だったり敏感だったりといった個体差は存在するんですか?
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個体差はわかりませんが、種族では差があり、味蕾の数が少ない種族と多い種族がいます。苦味物質の「塩酸キニーネ」をニワトリに与えると、味蕾の数が多い種族のほうが嫌がります。このことから、味蕾の数は味の感受性に関係があることがわかっています。
つまり、味蕾の数が多い種族のほうが味に敏感なんですね。
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ニワトリさんは苦味を感じるということにもなりますね。
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そうですね。
ニワトリの味覚
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甘味はどうなんですか?
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甘味は感じないようです。甘味受容体を構成するT1R2というたんぱく質分子が我々には存在していないんです。
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へぇ〜。じゃあ私が今食べている極上プリンのおいしさがあなたには理解できないんですね?
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・・・(イラッ)
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でも、ハチドリとか花の蜜を吸う鳥って、あの甘味を好んでるんじゃないんですか?
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なぜ今ハチドリの話を?私、ニワトリなんですけど。
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同じ鳥類なので…
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ハチドリは旨味受容体で甘味を感じ取っているらしいです。旨味はT1R1/T1R3という分子が受容体を構成して感知することができるのですが、これらが独自に進化したようですね。
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独自進化!スゴイ!
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生き残るための進化ですね。ハチドリは花の蜜を吸う生活様式になってから種が拡散したみたいですから。
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ちなみにニワトリさんは旨味を感じるんですか?
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一応、旨味物質であるグルタミン酸とイノシン酸の混合液に対して反応する味細胞が我々ニワトリにも存在していることはわかっているようです。
おまけ:鳥類は辛さを感じない?
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ニワトリさんは辛味を感じないと聞きましたが、いかがですか?
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あの…辛味は味覚じゃないんですけど…
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そうでした。基本5味にも含まれてませんでした。てへぺろ☆
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辛味は味覚ではなく痛覚ですよね。感覚神経にある、TRPV1というイオンチャネルが活性化することで辛さ(痛み)を感じます。これを生じさせる刺激のひとつとして、唐辛子に含まれるカプサイシンがあるのですが、我々ニワトリはこれに反応しないことがわかっています。
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辛いししとうに当たってしまった時に思い出して欲しいことで鳥がししとうの種子を運ぶ記述がありましたが、これはカプサイシンに反応しないがゆえに可能だということなのでしょうか。
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まあ、同じ鳥類ですので…おそらくそうですね。
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ありがとうございました!最後に一言どうぞ。
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動物の味覚に関してはまだまだ不明なことが多いのも事実。しかしこれらを解明することで、害鳥忌避やペットフードの開発に役立ったりするのです。
それに、”手作りペットフード”が話題を呼んでる近年、あなたの可愛いペットがどういったものを「おいしい」と感じるのか知りえたら、好みのペットフードを作ってあげることもできますよね。
ぜひ、私たちの味覚にも注目してみてください!
参考:動物の味覚受容体
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