チーズには2種類ある
チーズには、「プロセスチーズ」と「ナチュラルチーズ」の2種類があります。ナチュラルチーズは、現在は日本でも食べられるようになってきました。しかし関税や輸送費の関係で依然として高く、日常使い用のチーズとしてはプロセスチーズを使っている人も多いのではないでしょうか。
プロセスチーズは、しばしば、ナチュラルチーズに比べて味わいが劣っていると言われがちです。しかし、プロセスチーズも上手に利用することで、ナチュラルチーズに勝るとも劣らない「おいしさ」を作り出すことができます。
それを、チーズプロフェッショナル協会の「コムラード・オブ・チーズ」というチーズの資格を持っている著者がお話していきます。
プロセスチーズとは何か?
そもそも、プロセスチーズとはいったいどのようなものなのでしょうか。
ナチュラルチーズは発酵を止めていないため、時間と共に熟成していきます。それに対し、プロセスチーズは、加熱を行って熟成を止めてしまっています。このため、プロセスチーズはナチュラルチーズに比べて賞味期限が長く、保管がしやすいのです。また、売り場に並んだ際、賞味期限ギリギリになっても、味が変わらないという特徴があります。
プロセスチーズは、大きく分けて、6P(8P)チーズとスライスチーズに分類されます。
どの種類も、基本的にはナチュラルチーズに比べて没個性的で、クセがなく食べやすいという特徴があります。
ナチュラルチーズと違ってチーズならではの風味や本場感は劣りますが、あっさりとしたプロセスチーズにしかできない食べかたをご紹介します。
サンドイッチに使うならぜひスライスチーズを
プロセスチーズの1種であるスライスチーズは、サンドイッチによく合います。
一般的なナチュラルチーズはシート状になっていることはほとんどなく、サンドイッチには向きません。また、ナチュラルチーズは、種類によっても差はあるものの、一般的にプロセスチーズよりもくせや臭いが強いものも多く、お弁当に使われるサンドイッチに使うことが厳しい種類もあるのです。
スライスチーズなら扱いやすく、挟み込むのも容易です。また、品質が変化しにくいので、サンドイッチ弁当にすることもできます。
ちなみに、ちくわの穴にスライスチーズをねじこんでフライにする、という食べ方も簡単です。ドリアやグラタンに使うことができるのも、スライスチーズならではの特徴ですね。
くせがない味だからこそ……ピンチョスに使いたい
6P(8P)チーズと相性がよい料理は、なんといっても「ピンチョス」です。諸説ありますが、一般的に、ピンチョスは「いくつかの種類の食材をつまようじや串で刺した料理」を指します。
鶏肉や豚肉を甘辛く炒めたものと、ニンジンやキュウリ、ジャガイモやトマトの野菜と一緒にチーズを刺せば、彩りもきれいな前菜が仕上がります。
このときに使うチーズは、プロセスチーズが良く合います。ナチュラルチーズ、特にセミハード以外の物を使ってしまうと、チーズ一辺倒の味になってしまい、具材が調和しません。
ナチュラルチーズに比べて個性が少ないプロセスチーズだからこそ試せる、おいしい食べかたがあるのです。
今一度、プロセスチーズの魅力を再確認してみてはいかがでしょうか。