世界が注目する「だし」
私たちがよく口にする和食の基本、「だし」。だしはそのものが薄味ですが、調味料の量を抑えてくれるので減塩になります。洋食のように油脂やバターのコク、ソースなどを使わなくても調理でき、低カロリーに抑えられることから世界でも健康食として注目されているスゴイ奴。
そんなだしには実は、さまざまな健康機能があるんです。今回はそのなかでもかつおだしの健康機能にについて4つ、ご紹介します。
1. 疲労改善
かつお節の原料であるかつおは他の魚と異なりエラ呼吸でなく浮き袋もないため、常に前進して口をあけながらエラへ水を取り込んで呼吸します。疲れて泳げなくなると酸素不足になり窒息死してしまうので、それを防ぐために疲労蓄積を抑制したり、疲労回復する何らかの機能を持っていると考えられます。
このことからかつおを原料とするかつおだしにも疲労改善効果があると予想されています。実際、ヒト評価と動物実験を行なった結果、かつおだし固形分2~8％水溶液を2~4週間継続的に接収することによって肉体疲労、精神疲労、眼精疲労が改善したとの報告もあります。
2. ダイエット
健康な大学生男子・大学院生男子を対象にした実験で、「かつおだしを飲むことで胃の活動が活発になり、活動リズムが整えられたり満腹感が増した」という結果が出ています。さらに食べ物の50％胃排出時間が15％長くなったことから、かつおだしと一緒に食べたものがより長い時間胃の中にとどまってくれる可能性があるそう。
つまり、かつおだしを摂取すると消化を促し食べ過ぎを防止してくれるので、ダイエットに効果的なのです。
3. 精神安定・抗ストレス
気分・感情状態を5段階で評価するPOMSという方法で調べた試験によると、かつおだしを継続的に摂取することによって、緊張-不安、活気、疲労、混乱、TMD（総合的な感情状態を示す指標）が有意に改善したそうです。
精神的ストレスとの関連が示唆される「緊張-不安」スコアが改善されたことより、抗ストレス作用も期待できることがわかっています。
4. うつ病対策
かつおだしのみを与えたマウスと水のみを与えたマウスの行動を比較した実験があります。この結果では行動量には変化がなかったものの、かつおだしを与えたマウス群の方が警戒心が弱まり、大胆な行動をするようになったそうです。また自分の縄張りに侵入しようとする他マウスへの攻撃性も低下。うつ病の無性な不安感や他者に攻撃的になるといった症状が改善されることがわかりました。
同様にマウスを水中に浮かせ、泳がなくなるまでの無動時間を抗うつの指標として測定する強制水泳法試験でも、かつおだしのうつを抑制する効果が示唆されました。
私たちが食すだしには色々な効果があったんですね……え？最近だし摂ってない？大丈夫です。だしは継続的に摂っていくことで、嗜好性がアップすることがわかっています。
まずは1日1杯のお吸い物や味噌汁など、気軽に始めてみましょう。続けていくうちに「だし」なしでは生きていけない体になるかもしれません。
参考：
だしのサイエンスとポテンシャル
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