食品添加物「トレハロース」
食品の見栄えを良くしたり、品質を保持したりするうえで重要な意味を持っている食品添加物ですが、それが人工的に作り出されたものであるがゆえに「身体に悪いもの」というイメージを持っている人は少なくないでしょう。
しかし、食品添加物全てが身体に悪いわけではありません。食品添加物のひとつにもかかわらず、あの有名な生活習慣病の予防効果があるとして、注目を集めている成分があります。
その成分とは…トレハロース!
みなさんは「トレハロース」という食品添加物をご存知ですか?
お菓子などのパッケージ上でその名前を目にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。キノコや海藻類などに含まれる天然の糖類であり、じゃがいもやとうもろこしなどのでん粉から生成して作られることもあります。
トレハロースは食品添加物ではありますが、天然由来の成分なのです!
医学界では最近、「トレハロース」の健康効果に注目が集まっています。
2016年2月23日付の科学誌『Science Signaling』では、トレハロースの驚くべき作用が報告されており、同誌によると、トレハロースは肝細胞内に溜まった余分な脂肪を一掃するという重要な役目を担っているそうなのです!
フラクトース VS トレハロース
トレハロースと同じく糖類に分類され、ソフトドリンクやお菓子に多く含まれている「フラクトース」という添加物があります。これは体内に入ると、肝臓内に蓄積し、非アルコール性脂肪肝が誘発され、いわゆるメタボリックシンドロームの素となるいや〜な成分です。
しかし…ネットで「フラクトース」を検索しても、「メタボの素だ!」などという記事はなかなか見当たりません。
それはなぜか?フラクトースは摂取しても、その後の血糖値の上昇度が緩やかであることから、血糖値の高い糖尿病患者のかたでさえでも安心して摂取できると考えられていたからなのです。
「ということは、メタボの素とは言っても別に害はないんじゃないの?」
そう思うのはまだ早い!
齧歯動物に習慣的にフラクトースを摂取させたところ、糖尿病の症状が和らげられるどころか、肝臓内外において血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きづらくなり、そのうえ高血圧の状態が続くという実験結果があるのです!
高血糖・高血圧を誘発するだと…!?
これはやばい!誰か助けて!
…と、ここで登場するのがトレハロース。
フラクトースを摂取したとしても、少量のトレハロースを摂取さえすれば、身体への影響が軽減され得るという研究結果が、ワシントン大学医学部のブライアン・J・デボッシュ医師らによって発表されました。
フラクトースおよび濃度3パーセントのトレハロースを含んだ水をマウスに摂取させたところ、マウスの体重が減ったほか、血中コレステロールや脂肪酸、中性脂肪が低減したそうなのです…!
同医師らはこの結果を踏まえ、「トレハロースには少なくとも肝細胞への糖類の移動を妨げる作用がある」という見解を示しています。
「トレハロース」の戦いはこれからだ
トレハロースの効果が認められたとは言え、あくまでもマウス実験の段階で確認されただけに過ぎず、人への効果はまだまだ疑問が残るところ。また、デボッシュ医師らの実験結果に対し、「マウスの体重減少は脂肪の減少によるものではなく、骨や筋肉量が減ったためではないか」と疑う意見もあります。
続報に期待!というわけですね。
とはいえ、トレハロースは他にも、疲労やストレスを解消したり、アルツハイマー病の進行を抑えたり、虫歯を予防したりするなど、様々な面で医学研究者から注目を集めています。
注目の食品添加物「トレハロース」。今後の動きから目が離せません!