統計で分かった「たまご料理に頻繁に使われている調味料」は本当に相性が良いの?

統計の力でレシピを分析?


ビックデータの時代と言われて久しい昨今。消費者の購買パターンや人々の関心、商品に対する評判といったさまざまな情報は、統計の技術を用いて機械的に集められています。こうした統計の技術は、企業の商品開発やマーケティングといった業界以外にも、もちろん応用することができます。

理想的なゆで卵を作るのに役立つ「ゆで卵シミュレーター」を開発した、フードサイエンスを愛するデータサイエンティストの吉田龍巨さんは、海外のレシピサイトのデータを使って、ある面白い発見をしたようです。一体どんな発見なのでしょうか…?

◎吉田龍巨(たつお)さん
89年生まれ。東京大学卒工学修士、専門は数理シミュレーション。 企業でデータ分析をやりつつ、10年来の趣味として自己流でフードサイエンスの研究を行っている。料理スタイルは温度計4つを駆使した神経質タイプ。研究詳細は、ホームページ(自己流フードサイエンス:http://www.food-scientist.com/ja/)に掲載中。TwitterFacebookでも活動中。


たまご料理に頻繁に使われる組み合わせを発見!

吉田さんは、Open Source Foodという海外のレシピサイトにある約3700件のレシピを分析し、「たまご料理に使われやすい調味料や食材」を発見しました。なお、食材は味が薄いもの限定で、お肉などは含んでいません。

レシピのタイトルに使われている単語、材料欄に含まれている単語、レシピについているタグの3つを拾い上げることで、3700件のうち46件がたまご料理であることを発見。うち、ゆで卵系が19件、目玉焼き系が13件、スクランブルエッグ系が7件、オムレツ系が7件でした。さらに、この4種類のたまご料理に使われやすい調味料や食材を調べた結果がこちらです。

左側はたまご料理の種類、右側は調味料や食材の種類です。各たまご料理から、使われている調味料・食材まで線が伸びることで関係性を示しています。使用頻度が高いものほど、帯が太くなります。データから料理と調味料・食材の関係性が導けるというのは面白くありませんか?

各たまご料理に使われる調味料・食材ランキング

この図をもとに、それぞれのたまご料理に使われやすい調味料・食材ランキングを作りましたので発表します。

*ゆで卵系(19レシピ)
1位 塩 ・・・37%
1位 こしょう ・・・37%
3位 マヨネーズ ・・・16%

*目玉焼き系(13レシピ)
1位 チーズ ・・・46%
2位 こしょう ・・・38%
3位 塩 ・・・23%

*スクランブルエッグ系(7レシピ)
1位 チーズ ・・・43%
1位 塩 ・・・43%
3位 ニンニク ・・・29%

*オムレツ系(7レシピ)
1位 チーズ ・・・43%
2位 トマト ・・・29%
2位 たまねぎ ・・・29%

「たまねぎ」はどういう使われ方をしているのか怪しいところもありますが、統計上はこのような結果になりました。チーズと塩の使用頻度が高いようですね!

頻度が高い≠相性が高い?

データ分析で明らかになった、たまご料理に使われやすい調味料・食材。使われやすいということは、きっとたまご料理との相性が良いのでしょう。そこで、味覚研究者である味博士に、本当に相性が良いのかを尋ねてみました!

◎味博士!たまご料理と相性の良い調味料や食材について教えてください!

味博士「卵は旨味を引き出すことで美味しくなります。旨味をシンプルに引き出せるのは、ですね。特にゆで卵には塩が良いです。過去に味覚センサーレオを使って目玉焼きと相性の良い調味料を調べた時も、一番は塩でした。」

◎塩は旨味を引き出すのに最適なのですね!チーズはどうですか?

味博士「チーズの塩味の旨味が卵の旨味と絡み合うことで旨味の美味しさが増すため、合理的だと思いますよ。日本人には、塩よりはこってりした味に感じられるかもしれませんが。」

◎そんな博士のおすすめは調味料や食材は?

味博士「旨味がブロードするので、酸味で少しアクセントをつけるとよいです。その場合に最適なのはケチャップです。ケチャップは酸味の調整がしやすいですし、甘味が加わることでまろやかになります。たまごは大抵の場合旨味と塩味のバランスを重視しますが、たまには酸味と旨味のバランスを味わうのもいいですよ。」

◎ちなみに、たまねぎってどういう使われ方が考えられますか…?笑

味博士「たまねぎは炒めることで甘味が増すので、卵の旨味との相性は良さそうですね。調味料というよりは、細かく薄切りにしてオムレツに包むような合わせ方ではないでしょうか。」


使用頻度の高い調味料や食材は、味覚の相性も良い傾向にありそうです。日本と海外の差は多少あっても、相性が良いと感じる組み合わせは万国共通なのかもしれませんね。今後も、データを使った食の発展に期待です!

吉田さんご自身が「卵料理と利用調味料・食材の頻度」を紹介しているページはこちらです。こちらもぜひご覧くださいませ!


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