昔、お寿司は握ってから1万時間以上待たないと食べられない保存食だった!?―お寿司の歴史(1)

ハンバーガーから牛丼、コンビニ弁当まで、今はファストフードが広く普及しています。

中でもお寿司は、栄養価も高くカロリーも控えめな、日本初の良好なファストフードだと言えるでしょう。

手軽な和食として国内外で人気を博しているお寿司ですが、現在オーダーしてからお寿司が出てくる時間を5分だとすると、昔はその5万倍以上の時間がかかったのです。

5分×5万=25万分、、って、、何日?何ヶ月?いや、何年!?

今日は、お寿司のファストフード化の歴史をみてみましょう!

 


 

日本でのお寿司の歴史は、稲作の伝来と共に始まったと言われています。

お寿司は本来、貴重なタンパク質源である魚の保存手段でした。

保存食としてのお寿司は、魚を塩漬けにしたものを米につけ込んで自然発酵させる方法で作られており、この自然発酵により生まれる乳酸が魚の腐敗を防いでいたのです。

このため、この保存食としてのお寿司は、米を捨てて魚のみを食べるという贅沢な食べられ方をしていました。

これが進化して、魚とお米を一緒に食べる現在のお寿司の原型が誕生したのです。

しかし、この現在のお寿司の原型は、作ってから食べられるまでなんと半年以上待つ必要がありました!(これが約25万分の正体です。)

これではまるで漬け物ですね!

 

しかし、人の探究心は尽きないもの。

「もっと早く、おいしく食べられないか!?」

そう考えた人々が、お酢の普及と共に、作ってから1晩で食べられるお寿司を発明するようになりました。

江戸ではちらし寿司や巻き寿司、大阪では押し寿司など、バリエーションが増えていったのです。

現在の主流であるにぎり寿司もこの時に生まれ、酢飯にネタをのせるだけのにぎり寿司は瞬く間に大人気となりました。

 

しかし、それでもお寿司は、全国に勢力を広げて行くに至りませんでした。

現在のように、海から遠い地域でも手軽にお寿司が食べられるようになるまでには、次のハードル『いかに魚を新鮮に運ぶか?』を超えなければならなかったからです。

いかにして、人はこの問題を乗り越えるようになったのでしょうか!?

つづく、、

 


 

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