【味博士の日本語講座】「旨味」と「うまみ」について

このブログでも度々述べているように、食べ物の味は、「甘味」「旨味」「塩味」「酸味」「苦味」の5つから成り立っています。

最近は、「旨味」についての質問をよく頂きますので、今日は「旨味(うまみ)」について改めてお話しします!

 


「甘味」の成分といえば、何を思い浮かべますか。

ぱっと思いつくのは、砂糖や人工甘味料でしょう。

この砂糖というのは、もう少し正確に言うと、グルコースやスクロースといった物質です。

人工甘味料も、アスパルテームやアセスルファムといった物質です。

 

では、「旨味」の成分といえば、何を思い浮かべますか。

もちろん「甘味」と同様に、「旨味」物質があるのです。

一番有名なのは、味の素でしょう。

味の素はもう少し正確に言うと、グルタミン酸ナトリウムという物質です。

旨味成分の正体は、グルタミン酸ナトリウムイノシン酸ナトリウムといった物質なんです。

 


 

さて、「肉の旨みがきいている」「この料理は旨みがある」などという表現を耳にしたり、口にしたりしますね。

この時の「旨み」は一体何をさしているでしょうか?

この言葉は、こうしたグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム由来の「旨味」を感じている時に使われるもので、私たちが「旨味が強い」などと表現するときも、これらの物質に由来する「旨味」の測定レベルを示しています。

しかし、「うまみ」という響きが紛らわしいためでしょうか、文字通り「うまみ」、つまり、その食材全体の「うまさ」=「おいしさ」と思われている方も少なくありません。

「旨味」は美味しさを作る要素ではありますが、「旨味」=「うまさ」=「おいしさ」ではないのです。

「旨味がある」という表現は、「甘味がある」などと同様に、「グルタミン酸ナトリウムを感じる」といったニュアンスなのです。

食材自体の「おいしさを感じる」こととは、ちょっと違うんですね!

 

「旨味」という言葉を正しく使うことで、食のおいしさをみんなで共有できますよ☆

ぜひ、覚えておいてくださいね!

 

*砂糖と人工甘味料ってどう違う?

関連記事:【味覚センサー】コーラでわかる、砂糖と甘味料の違い

 


 

 

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