納豆や漬物など日常的においしく食べられている発酵食品。これらの発酵食品は、腐っています。
腐っているにも関わらず、私たちは発酵食品を食べています。しかも、体に良いという付加価値まで付いているんです。……なんとも不思議な気持ちになりませんか?
発酵食品は、どうして食べられるのでしょうか。
発酵食品に賞味期限があるのはなぜ?
スーパーなどで発酵食品のパッケージを見てみると、発酵食品にもしっかりと賞味期限が記載されています。
もう腐っているなら賞味期限なんて関係なさそうですが、しっかりと記載されているのは一体なぜなのでしょうか。
それは、腐敗してしまうから。
発酵食品は、出荷されてからも発酵が進んでいきます。発酵が進むことで菌の数は増殖していき、生菌数が一定の数に達することで発酵から腐敗に変わってしまいます。
このことから、発酵食品にも賞味期限や消費期限を設定し、管理する必要があります。発酵食品でも賞味期限は大切なもの。期限内においしく食べるようにしましょう[*1]。
しかし、腐っている発酵食品が腐敗する、というのはなんだか違和感がありますよね。次に、発酵と腐敗の違いについて見てみましょう。
発酵と腐敗の違いとは?
発酵と腐敗はどちらも微生物の作用によって分解されることで起こる現象、という点で共通しています。
では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
実は、発酵と腐敗の違いは人間の価値観によって決められています。人間にとって有用な場合は「発酵」、反対に人間にとって有害な場合は「腐敗」という区別なんです。
このことから、同じ菌であっても食品によって有用であるケースと有害であるケースが存在しています[*2]。
発酵食品は腐っているといえば腐っていますが、「腐敗」とは異なると区別されているだけ。発酵食品であっても、発酵が進んで腐敗してしまえば有害なわけです。
もちろん、発酵食品もそうでない食べ物も、「腐敗」する前に食べるように心がけてくださいね。
参考:
*1 食品関連企業における微生物検査の意義(3)
*2 腐敗と発酵、腐敗と食中毒はどう違うのか?
*3 発酵と腐敗を分けるもの