調理の時短にとても便利な圧力鍋。数十分圧力をかけるだけで何時間も煮込んだような料理が作れるわ、肉や野菜の芯まで柔らかくなるわ、米は炊けるわと守備範囲も広く、重宝している方も多いはず。
では、圧力鍋で調理した際、食材に含まれている栄養分はどうなっているのでしょうか。あまりに短時間で調理が完了してしまうので、なんとなく栄養分が壊れるイメージを持ってしまっていませんか?
その答えを紐解くために、いくつかの研究結果をご紹介します。
ビタミンCの残存率が高い!?
2007年3月、The Journal of Food Science誌に発表された実験[*1]によると、圧力鍋で調理したブロッコリーは、その他の調理法と比べてビタミンCの残存率が高いという結果が出ています。
調理法ごとのビタミンCの残存率を測ったところ、蒸し調理78%、ゆで調理66%と比較して、圧力鍋の調理では90%を残していたそう。また、抗酸化物質のスルフォラファンも圧力鍋を使った調理で多くが残存しました。
圧力鍋による調理は少ない水分量で短時間に調理できるため、ビタミンや抗酸化物質が失われにくいと言われています。
圧力鍋調理で消化がしやすくなる!?
圧力鍋で穀物や豆類を調理すると、栄養成分の吸収を阻害するフィチン酸とレクチンが減少し、より消化しやすくなるようです。
これに関して調べた研究[*2]では、一晩水に浸して煮込んだエンドウ豆のフィチン酸含有量は調理前の29%減少するのに対し、圧力鍋で調理するとフィチン酸は54%減ったという結果が出ています。
でんぷん質の食品を加熱することで発生する発がん物質の「アクリルアミド」が、圧力鍋では抑えられるという調査結果も。
「圧力鍋を使うと栄養が破壊される」なんて噂が一時期流行したこともありましたが、そういった説は多くが反証されています。
こうした研究結果を見る限り、圧力鍋での調理は栄養面でもメリットがありそうですね。
参考:
*1 The influence of processing and preservation on the retention of health-promoting compounds in broccoli.
*2 Effect of domestic processing and cooking methods on phytic acid and polyphenol contents of pea cultivars (Pisum sativum).