味覚の知識

一体なぜ?「体に悪いものほど美味しい」と感じる理由

ジャンクフード

ハンバーガー!コーラ!ピザ!ケーキ!

「美味しいもの」と聞いたら、こうした味の濃い食べ物をイメージする方、多いのではないでしょうか。これらは味が濃く、塩分や糖分、油などが多く含まれます。そう、体に悪いんですね。

反対に、野菜などが多く含まれる健康的な食品は体に良いものの、一般的に美味しくない食べ物として括られます。

「体に悪いものほど美味しく、体に良いものは美味しくない」

こう言われるのは、なぜなのでしょうか。味覚的観点から考えてみました。

幼少期の体験で「美味しい」がつくられる

ハンバーガーやピザ、ケーキが「美味しい」というイメージの形成には、子どもの頃の食体験が関係しています。

食べ物には甘味、旨味、苦味、酸味、塩味の5つの味があり、これらは人間の成長と密接に関わっています。そして、ジャンクフードに代表されるのは「甘味」「旨味」「塩味」の3つの味覚です。

甘味はエネルギー源、旨味は体を作るアミノ酸や核酸、塩味は水分やミネラルのサインとして、本能的に好まれる味。これらは成長過程において、不足してはならないもの。ゆえに、脳が欲する栄養素としてかなり優先順位が高いと思われます。

また、今は飽食の時代ですが、人類の歴史上、肉が「ごちそう」だった時代は長期間に渡ります。そうした要素も含まれているかもしれません。

子どもの頃に感じた「美味しい」は、幸福な食体験として私たちの脳に刻まれます。大人になってからもそれが残っているため、ジャンクフードが「美味しいもの」としてイメージできるのでしょう。

本能が拒否する「苦味」と「酸味」

幼少期は、とにかく食体験が少ないです。

本能的に苦味や酸味は、自然界で生き抜くために「毒」や「腐敗」のサインとして感知する味覚。食体験を経て、「苦味や酸味が悪いものではない」と学習していくことで、これらの味を好きになることができます。

しかし、ピーマン嫌いの子にピーマンを食べさせることが難しいように、苦味や酸味を好きになるほどの経験を積むのは、なかなか困難です。「不味い」「嫌い」と脳が断固拒否してしまうと、それは一層、長い道のりになります。

誰だって、不味いものより美味しいものを食べたいと思うはず。食事の記憶を、幸せなものにしたいと思うはずです。

しかし、そう思うことでどうしても、子どもの頃の体験から、甘味や旨味、塩味を選んでしまいがちになります。そっちのほうが簡単ですから、当然の行動と言えるかもしれません。大人になるまでに苦味や酸味が克服できない場合、その傾向は顕著になるでしょう。

こうして、「美味しい」はどんどんジャンクフードに寄って行ってしまいます。

体に良いものは本当に不味いのか?

ではそもそも、体に良いものは本当に美味しくないのでしょうか。

日本式の、一汁三菜の食事を想像してみてください。ご飯に、野菜や海産物の入った味噌汁、肉や魚、野菜や海藻から成る副菜を。

和食

この食事は、立派な「体に良いもの」ではないでしょうか。低脂肪で、低エネルギー。味噌などの発酵食品が使われ、栄養バランスも良く、必須アミノ酸も含まれています。

慣れ親しんでいるために「ごちそう」というイメージはないかもしれませんが、塩を入れすぎなければ体に良く、美味しいものであることは確かです。

「体に良いもの」と「美味しくない」はイコールで繋がりません。

体に良いものを「美味しい」と感じる味覚にする

塩分や糖分、油が控えめなものは、極端に言ってしまえば「薄味でサッパリしたもの」です。しかし普段、濃い味のものを食べていると、どうしても薄味のものは物足りなく感じてしまいます。

逆はどうでしょうか。薄い味のものを食べ続け、それに慣れると、濃い味のものを食べたとき「しょっぱすぎる」「甘すぎる」と感じるはず。

これが、正しい味覚です。

舌の上にある味を感じるセンサー「味蕾」は10日間で生まれ変わります。味覚はいくらでも改善ができるんです。体に良いものが「美味しい」と感じられる味覚をつくれば、美味しいものが体に良いものになります。

私たちの根本が形成される幼少期の食体験を消すのは、難しいこと。ジャンクフードをおなかいっぱい食べたい気分になることもあるはずです。

しかし、普段の食生活の中で体に良いものが美味しいと感じられる味覚をつくっておけば、ジャンクフードばかりの偏った食事にはなりにくいでしょう。

味覚力を鍛える方法は、こちらの「味覚力を鍛えよう!味覚力チェックと味覚力トレーニングのススメ」の記事でご紹介しています。気になったら、ぜひ読んでみてくださいね。

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