ビールにワイン、ウィスキーなど世の中には色々なお酒がありますよね。その中でも「日本酒が好き」という方が、最近は増えてきているように感じます。
日本酒には辛口や甘口など様々な味わいのものが存在しますが、実は日本酒の味の決め手に水質や地質が関係するのをご存知ですか?
日本酒と「水質」の関係
日本酒の味わいの決め手となるのは「米」「水」「醸造技術」など[*]。醸造に利用される水を仕込み水と呼び、その水質が日本酒の味覚に影響を与えていると言われています。
仕込み水の水質のうち、味わいに関わるのは硬度。「硬水」では辛口、「軟水」では甘口になる傾向があることが、既存の研究でわかっています。
18箇所の酒造のデータと仕込み水の硬度(ドイツ硬度)との関係を分析した実験[*]では、結果、硬水の日本酒では、やや辛口の傾向にあり、一方の軟水ではばらつきはあるものの、淡麗・辛口が多いことが示されています。
日本酒と「地質」の関係
一見関係なさそうな日本酒と地質ですが、地質は水質に影響を与えるため、結果として日本酒の味わいに影響を与えます。
水質というのはカルシウム成分がどれだけ水に溶けているかによって決定されます。そのため硬度は地層や岩石のカルシウム分の量、帯水層(地下水が飽和している地層)、pHなどの環境に左右されるそうです。
今回登場する地質学の時代区分は、約260万年前から現在までの時代の第四紀、約 1万1700年前から現在までを指す完新世、2,303万年前から258万年前までの時代を指す新第三紀という区分になります。
このうち、第四紀火山噴出物や完新世の堆積物の一部及び花こう岩(ケイ酸分を多く含んだ粘り気のあるマグマが冷えてできた岩石)地域ではやや濃厚・辛口、完新世の堆積物や新第三紀の堆積岩地域では淡麗・辛口の傾向があることがわかりました。更に不明瞭ではありますが、前者の地域では硬水、後者の地域では軟水の傾向が見られたそうです。
お米や技術も大事な要素ですが、日本酒の味わいは水質や周辺地域の地質によっても変わってきます。日本酒と地質の関係はまだまだ研究途中の分野であるそう。これからの発展が楽しみですね。
ところで、お酒の知識を得るとお酒を飲みたくなりませんか?日本酒と水質・地質について考えながら、日本酒を味わってみるのも一興ではないでしょうか。
参考:
*「日本酒の味わいと地質の関係の一考察」醸協 111(12), 801-807, 2018