「お昼ご飯はジェラートです」ジェラートを愛するイタリアの夏

猛暑の季節、日中は食欲が落ちますよね。バカンス中のイタリア人は、「お昼はジェラートでいい」という人が少なくないそうです。

日本で、「お昼にアイスクリームだけを食べる」と聞いたら、熱中症対策をはじめ栄養面の問題で非難轟々になることは間違いないでしょう。ところがイタリアでは、まじめな消費者団体「Altroconsumo」でさえ、「たまさかであれば、品質が保証されたジェラートをお昼に食べることはOK」としています[*1]。

ジェラート専門店で、平均的な大きさのジェラートをカップで食べると、摂取するカロリー量は500kcalほどだそうです。ジェラートだけで心配ならば、野菜や果物を食べること、ただし頻繁には行わないように……という注意書きがあります。

昨今の健康ブームで、以前のようにギンギンの着色料が入ったジェラートを見ることは少なくなりました。「原材料から有機食材です!」とうたっている、少し価格も高めのジェラート店が次々に登場しており、エネルギー補給としては悪くないと判断されたのでしょう。

老若男女がジェラートを愛す。それがイタリア

イタリアのジェラート研究所(Istituto del gelato italiano DOXA)によると、イタリア人の36%は季節にこだわらず年中ジェラートを食べているという結果がでています。93%のイタリア人は、「ジェラートが好き」と答えています[*2]。

夏には、36%の人が「週に1,2回」、20%の人が「週に2,3回」、そして毎日食べるという人も11%にのぼるんです。

イタリアのジェラートは、国民食も同様。よって、杖を突いた高齢者も、スーツをかっこよく着こなすエリートサラリーマンも、修道服の尼僧も、ジェラート片手に街を歩くという姿が珍しくありません。

食べながら歩けるというのが魅力で、41%の人はコーンに乗ったジェラートを好み、カップに入ったジェラートは両手がふさがるという理由からか愛好者は12%にとどまっています。22パーセントは、大きめの容器にいくつかの種類を入れてもらい量り売りで買うタイプを好むとしています。これは家族や友人同士が家で分け合って食べるもの。食事に招待されると、手土産として持っていくことが多いためです。

日本の「ガリガリ君」が代表するようなアイスキャンディーは、イタリアではマイナーです。キャンディータイプのアイスが好きというイタリア人は、全体のわずか5%!

なぜか、イタリア人はジェラートがキンキンに固まった状態が好きではないらしく、しばらく解けるのを待って食する人もいるほど。お客さんの出入りが多く、ジェラートの回転が良いほど商品はクリーミーであるため、硬くなったジェラートを売っている店は「あれは古いジェラート」という理由で、ますます客足が遠ざかるのです。

高齢者や糖尿病患者も量さえ気をつければOK!?

栄養学者でジェラート研究所の所長であるミケランジェロ・ジャンピエトロ氏は、原材料の出所がしっかりしているジェラートであれば、高齢者にとって夏の水分および栄養補給としては理想的と語ります。

また、スポーツをする人にとっても適度なカロリーを補給できるためおやつとしても悪くないのだとか。

今年7月には、乳製品にアレルギーのある人のためのジェラートの開発が進んでいるというニュースがありましたが、糖尿病患者も病状とジェラートの質や量を考慮すれば摂取は可能とジャンピエトロ氏は語っています。

ジェラート専門店でジェラートを注文すると、最後に「生クリームは?」と聞かれます。なぜか、ジェラートと生クリームは相性が良いとされているのです。

庶民的なお店になると、「ダブル」という生クリームがあり、コーンの下部にまず生クリームを入れ、注文した2,3種類のジェラートを乗せ、その上にさらに生クリームが鎮座するのです。

これもお国柄があり、しまり屋な県民性で知られるジェノヴァ周辺だと生クリームは有料。ローマでは、ほぼ無料で生クリームを乗せてくれますよ。

参考:
*1 Pranzare con un gelato? Meglio compensare negli altri pasti. Ecco come
*2 Gelato: via libera per gli intolleranti al lattosio
https://www.doxa.it/tutti-pazzi-per-il-gelato/

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