ビーフジャーキーやサラミで躁病に…?硝酸塩が多動性を引き起こす可能性

パリッとした皮の中から肉汁ジュワ〜のフランクフルト 、ビールが進むサラミやジャーキー……想像するだけでお腹が空いて困りますよね。でも、それらの食材に使われている保存料のことを考えたことはありますか?

先日、牛肉やサラミ、フランクフルトといった加工肉に含まれる硝酸塩が躁状態をもたらす可能性がある、という研究結果が報告されました[*1]。

硝酸塩はガンや躁病の原因?

硝酸塩は加工肉や魚卵などを変色させることなく鮮やかに保ち、食欲が湧くようなフレーバーを与え、有害な細菌の増殖を防ぐ食品添加物です。しかし、口の中の細菌や体内酵素によって亜硝酸塩に変化、更にニトロソ化合物を作ってガンの原因になることもあります[*2]。

ジョンズ・ホプキンス大学の報告[*1]によると、2007年〜2017年の1,000人を超える人々の記録から、躁状態で入院した患者は重い精神障害といった病歴がない人たちに比べ、硝酸塩入りの加工肉を食べていた確率が約3.5倍以上高かったそうです。

その事実を踏まえ、ラットに硝酸塩を含んだビーフジャーキーと含まれていないビーフジャーキーを食べさせて実験した結果、硝酸塩入りのビーフジャーキーを食べたラットは2週間以内に躁病様の多動性が見られるようになったとのこと。

研究者がラットに与えたビーフジャーキーは、ラットを人のサイズに見立てて、それに合わせた量。普通の人が日々、ビーフジャーキーやホットドックといった軽食を食べる量と同じくらいだそうです。

ただしジョンズ・ホプキンス大学はアメリカにあります。日本よりそうした加工肉の摂取頻度は高いかもしれません。

ADHDの多動性にも影響あり?

この研究結果が影響するのは躁病のような精神障害だけではないようです。

気分の上昇や高エネルギー状態が数週間以上続く症状が躁病。じっとしていることができず、怒りやすくなったり、多弁になったり、睡眠を必要とせず、重度になると妄想して危険な行動をとることもあります。

そして、その「多動性」と関連するのが、発達障害の代表的な症状と言われるADHDです。最近では大人の発達障害としても、話題になりましたね。

ADHDと躁病には重なる部分が多いとの報告もあります[*3]。加えて、ADHDの患者さんは硝酸塩摂取を厳重に避けるべき、との助言も[*4]。ADHDの多動性を和らげたい場合、こうした食品がそれを邪魔してしまう可能性があるのでしょう。

ただし、もちろん加工肉に含まれる硝酸塩が躁病を引き起こす、と断定されているわけではありません。ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、この結果を臨床的に活かすのは時期尚早であるとの見解を示しています。腸内の病原菌が脳に影響を与える可能性があるという別の研究結果から、硝酸塩と腸内細菌との関わりについても考えられているそう。

とはいえ、毎日のようにこうした加工食品を食べている人は、注意したほうが良いかもしれません。ひとまず、さらなる研究結果が発表されるのを待ちたいところです。

参考:
*1 The Johns Hopkins University「Beef Jerky and Other Processed Meats Associated with Manic Episodes」
*2 農林水産省 「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について」
*3 NCBI「Understanding Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder From Childhood to Adulthood」
*4 University Health News「The Best ADHD Diet for Kids」

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