分刻みで世間に流れる健康に関するニュース。スーパーフードと呼ばれる食材の流行も、インスタなどで喧伝されて目立ちます。先日、イタリアのミラノには、スーパーフード専門のレストランまで開業しました。確かに、スーパーフードと呼ばれる食材が、健康に寄与することはまちがいないでしょう。
しかし、注意したいのは「がんを予防できる」という宣伝文句。専門家たちは「ある食材や食品ひとつだけを摂取して、がんを予防することは不可能」と断言しています。
近年目立つ「ガンの食事療法」
ここ数年、インターネットなどで流されるがんの治療法のひとつに、食事療法があります。野菜中心の食生活によってガンの症状が緩和した、などというニュースがインターネットで流されており、専門家はその危険性を指摘しています。
こうした極端に偏った食生活は、カロリーが足りなかったり必要な栄養が足りていない例も多いのだそうです。
たとえば、オーストラリア人のあるブロガーは、脳を含む全身転移のガンを患いながら、食生活によってそれを克服したことをブログにし続けました。このベル・ギブソンという女性、ブログに多くのフォロワーもあったのですが、ガンであったことも含めてすべて虚偽であったことがばれて、罰金を科されています。
彼女のように、ビジネスの手段として病気や食事療法を喧伝する人も少なくないのです。
ガンの専門医が「ノー」と断言した案件は400以上
亜麻仁油に含まれるω-3脂肪酸とω-6脂肪酸が効く、ビタミンDとEDTAの組み合わせが有効などなど、様々なニュースが日々流れています。こうしたニュースを検証した結果、がんの専門医が「ノー」と断言した記事は、現在400にものぼるといわれています。
一方で、健康的な食生活がガンの予防に有効であることは、科学的にも証明されてきました。
ただし、あるひとつの食材を摂取し続けることでガンを予防したり治療したりすることは不可能だと専門医は語ります。
植物性の食材を豊富に取り入れた食事、アルコールを摂取しすぎないこと、適度な運動、禁煙。陳腐なように見えますが、こうした習慣がガンを予防する第一歩というわけです。
飲み過ぎはいずれにしても大敵!
35万人を対象にしたある研究によれば、「正常な体重維持」「適度な運動」「禁煙」「少なめのアルコール摂取量」「豊富な植物性の食材」を順守した人は、直腸ガンを患う確率が37%減少したという報告もあります。
逆に、アルコールの摂取はいずれにしても健康の維持には大敵といわれています。一日のエタノールの摂取量が100gを超えると、肝臓がんになる確率は66パーセント上昇。さらに、アルコールの過剰摂取と喫煙の組み合わせも、子宮ガンや食道ガン、胃ガンの原因となる確率が高いそうです。
参考:
Nessun cibo da solo può prevenire il cancro
Plato, a Milano il primo locale che propone solo piatti superfood
Physical Activity and Nutrition in Primary and Tertiary Prevention of Colorectal Cancer
http://www.repubblica.it/oncologia/news/2018/05/17/news/cancro_e_fake-news_nasce_il_primo_portale_anti-bufale_in_oncologia-196672156/
Tumore, ma è vero che?