バナナを冷蔵庫に入れておくと、なぜ味や香りが変わるのか

世界中で最も食べられているフルーツのひとつ、バナナ。長く持たせるにはやはり冷蔵庫保存ですよね。ビニール袋に入れ、包んで冷蔵庫に入れておくなどすると結構長く持つので、安いときにたくさん買っても安心です。

しかし、冷蔵庫保存ではバナナの芳醇な香りが失われてしまうそうなんです。

バナナの香りは温度で変わる

雑誌『Journal of Agricultural and Food Chemistry』に、中国の華南農業大学の研究結果が掲載されました。内容はバナナの香りや味についてです。最新のこのバナナの研究により、バナナのアロマの減少は「低温」が原因であることが判明しました。

バナナ独特の香りを生み出す基本となるタンパク質は、低温になると活性が抑制されてしまうのだそう。

すでにこれまでの研究で、「転写因子」と呼ばれるいくつかのタンパク質が、フルーツを成熟させるための遺伝子をコントロールすることが指摘されていました。

華南農業大学の研究者たちはこの事実をベースにして、果物を冷蔵庫に入れた時に発生する香りや味覚の変化が転写因子と関係しているかを調査したのです。

原因は「低温」

バナナの生産地は当然のことながら、熱帯域が中心。バナナを消費する国々に届けられて販売されるまでには、かなりの時間を要します。

そこで研究者たちは、熟さない状態のバナナを収穫し、室温と低温(冷蔵庫)で保温しそれぞれの経過を観察しました。

その結果、低温(冷蔵庫)で保管されていたバナナは室温で保管されていたものよりもゆっくりと熟し、風味が低いことが判明しました。一連の実験で、低温や冷却は熟成中のアロマ形成遺伝子の活性を低下されると結論づけられたんです。

具体的には、これらの遺伝子を活性化させる転写因子は「MabZIP4」と「MabZIP5」と呼ばれるものだそうです。

店頭に並ぶ前のバナナがどのように保存されていたかでも、バナナの香りは大きく変化する様子。研究チームでは、このシステムをより深く理解し、より良い香りのバナナを市場に届ける戦略につなげたいとしています。

おうちで保存する際も、バナナの味や香りを存分に楽しみたいのなら、できるだけ常温に置いておくのが良さそうですね。

参考:
Perché la banana in frigo perde il gusto? Una questione di geni
Appealing finding suggests why refrigeration dampens banana aromas
Study: Why Refrigeration Dampens Banana Aromas

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