玉ねぎを切る行為は涙不可避のエンターテイメント。玉ねぎには催涙物質が含まれていて、それが目に飛んでくることで、私たちは泣かされてしまうのです。しかし、玉ねぎのエンターテイメント性はこれだけではありませんでした。今回は玉ねぎの驚くべき変化を見てみましょう。
ニンニクと混ぜると緑になる!?
玉ねぎと言えば薄い黄色〜茶色ですよね。フライパンで炒めれば「飴色」になることはあれど、基本は黄色〜茶色系統だと思います。
しかし、試しに玉ねぎとニンニクを、重量比5:1〜10:1で混ぜ合わせて、一晩おいてみてください。どうなってると思いますか。
なんと緑になるんです!!!
さらに、高温で放置するほど濃ゆい青になるようです。
もはや原型をとどめていないですし、何も知らずに玉ねぎとニンニクを混ぜてこんな色になってたら、反射的に捨ててしまうレベルだと思います。
しかし、これは決してあぶない成分ではないのです!
発見はイグノーベル賞を受賞
実はこの現象を発見したのは、日本のカレーメーカー、ハウス食品グループの研究者です。ある日、レトルトカレーを作る過程で玉ねぎとニンニクを混合したものが変色していることを発見。この現象は玉ねぎが新鮮だろうと古かろうと起こり、なおかつニンニクをニンニクエキスに変えても起こることが分かりました。
この不思議を深く追求した研究者らは、この緑色は最初に述べた玉ねぎの催涙物質のもととなる物質「PRENCSO」や、PRENCSOを分解して催涙物質にする酵素「アリイナーゼ」、ニンニクに含まれる「アリイン」、そしてアミノ酸の4つによって生まれていることが分かりました。つまり、タマネギとニンニクがもともと持ち合わせている成分同士が反応した結果なのです。
研究者らはこの現象をさらに詳しく調べるうちに、従来の玉ねぎの催涙物質ができあがる経路に誤りがある事に気づき、催涙物質を作るには「催涙因子生成酵素」というものが働いていることをつきとめました。
この研究は2002年に、科学会では有名な学術雑誌Natureにも掲載され、さらに2013年にはイグノーベル賞も受賞されています。玉ねぎが緑色になるという不思議なトラブルが、偉大な発見に繋がったのです。
これをお読みになった方は「本当に青緑になるのか!?」と気になってきたことでしょう。ぜひご家庭で、玉ねぎとニンニクの織りなす神秘を目の当たりにしてみてください!
参考:
タマネギ催涙因子合成酵素の発見とその関連研究
タマネギ研究でのイグノーベル賞について
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