台所で食器を洗ったあとのスポンジは、流しにそのまま放置され、次の食事の後でまた使われます。私たちは、こうして当たり前のように、何日、何週間、何ヶ月と同じスポンジを使います。しかし、あなたはご存知でしょうか。そのスポンジにはたくさんの菌がいるかもしれないことを…!今回は、普段目に見えないスポンジのミクロな世界に注目してみましょう。
スポンジには10億匹も菌がいる場合も!?
大阪市立環境科学研究センターの研究者らは、一般家庭で使われている36個のスポンジの菌検査を行いました。その結果、ほとんどのスポンジ1個あたりに、菌が1億匹もいることがわかったのです!21個のスポンジに至っては、10億匹もいた模様。嗚呼、菌が金(きん)になって欲しい人生だった…。
さらに、菌の内訳を見てみると、多くのスポンジに、大腸菌が100万匹、セレウス菌が10〜100万匹、一部のスポンジでは黄色ブドウ球菌も発見されるなど、食中毒にかかわる菌がいることもわかりました。しかも、残念なことにこうした菌は5日経っても生き残っていたのです!1日放置して乾燥させる程度じゃ死んでくれないということです。
菌は水のあるところを好みます。スポンジは構造上、内部が乾燥しにくいため、表面が乾いても中はまだ湿っていることがあります。スポンジに水が残っているのに加え、食品のカスなどの栄養成分も残っていれば、菌は余裕綽々と増えることができちゃうのです。
このように普段使っているスポンジには、たくさんの菌が住みついている可能性が大!スポンジが原因で食中毒になることは多くはないかもしれませんが、リスクを下げておくにこしたことはないでしょう。とはいえ、スポンジを日替わりで変えるのもの現実的ではありません。一体どうしたらスポンジを清潔に保てるのでしょうか。
殺菌にはスポンジを茹でるべし
スポンジを綺麗に保つには、毎日消毒したり殺菌剤を使えばいいのでしょうか。先ほどの研究者らは、いくつかの殺菌方法で、菌をどれぐらい減らせるのかについても調べました。試したのは「次亜塩素酸ソーダ」「塩化ベンザルコニウム」「クロルヘキシジン」という3種類の殺菌剤を使う方法と、熱湯中に30秒間入れる方法です。
その結果、3種類の殺菌剤ではいずれも菌が100万匹〜1億匹ほど残っていました。これらの殺菌剤は、カビの除去やプールの殺菌などに使われるメジャーな殺菌剤ですが、スポンジの場合は溶液が内部に移動しにくいことや、殺菌成分がスポンジに残った食品の成分との反応に使われてしまうなどの理由で、殺菌力が弱まってしまったのだと考えられます。
一方で熱湯で30秒煮沸、つまり”スポンジを茹でた”場合は、菌を1000〜10万程度に減らす事ができました。熱湯は菌を殺すもっともメジャーな方法です。煮沸することで、食材を茹でる時のように、スポンジの内部まで熱を伝える事ができるので、スポンジ全体を殺菌することができるのです。
こうした話は、あなたが使っているスポンジも例外ではありません。同じスポンジを長い期間使う場合は、時折スポンジを熱湯で30秒間茹でて、スポンジを清潔に保ってあげてくださいね!