子どもは一般的に、甘味・旨味・塩味を好みますよね。なぜかというと、生きていく上で体内の代謝に必要な栄養の味だから。甘味や旨味はエネルギー、塩味は塩分として体液の塩類のバランスを維持してくれる味覚です。
いっぽう苦味や酸味はあまり好まれません。実はこれは、本能的に毒のある食べ物や腐った食べ物を避けているからです。苦味や酸味は量を食べ、慣れていくことによって好きになる味なんです。
これらの味覚は食べたあとの表情にも、本能的に求めているか求めていないかが反映されます。各味覚を味わったときの子どもの表情について観察された研究結果をご紹介します。
甘味・酸味・塩味を味わったときの子どもの表情
研究は岡山県内の幼稚園に在園中の児童を対象に、嗜好や味覚閾値が調査されたものです。表情の調査は男児38名、女児38名を対象に行われ、甘味・酸味・塩味溶液を味わった際の子どもの表情が写真で撮影されました。
試料として使われたのは、甘味は濃度4.25%のショ糖水溶液、酸味は濃度0.24%のクエン酸水溶液、塩味は濃度0.8%の塩化ナトリウム水溶液です。
子どもの表情の図は論文内の写真を参考に作成しました。
対照
まずは対照です。当然ですが無表情です。
甘味を味わったときの表情
甘味を味わった場合、子どもは笑顔を浮かべました。子どもは甘いものが大好き。同研究の嗜好調査ではチョコレートやアイスクリームが好まれているという結果も出ています。
酸味を味わったときの表情
酸味では、顔をしかめ不愉快な表情を示しました。苦味と並んで忌避される味のため、こうした表情になったようです。大人でもレモンなど酸味の強い食べ物を食べてこういう顔をする人はいますね。
塩味を味わったときの表情
塩味を味わった際はやや快い表情を示したようです。試料は塩化ナトリウム水溶液ですから、ポテトチップスなどのように「大好き!」というほどではないのでしょう。
好き嫌いによっても異なりそうですが、甘味や塩味、そしておそらく旨味を味わった場合はどちらかというと快い表情を見せ、酸味や苦味の場合は不愉快な表情になるようです。
子どもだけでなく新生児といった赤ちゃんも、味覚によって大きく分けて2種類に表情が変わるという報告があります。体に必要な栄養となる味覚はプラス、忌避される味覚はマイナスの表情をするというもの。
大人になるにつれて苦味や酸味も好むようになり、高年齢になってくるとむしろ甘味よりも苦味が好きという人も増えます。しかし、大人になっても苦味や酸味を食べたときよりも、甘味や旨味を味わったときのほうが笑顔になる人が多いような気がするのは私だけでしょうか。
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