日本人はエビが好き!?
突然ですが、「天丼」を思い浮かべてみてください。「天ぷらそば」や「天ぷらうどん」でも大丈夫です。あなたが想像したのは…エビの天ぷらが乗っているものではないでしょうか?
アレルギーのある人は別として、エビフライ、エビグラタン、エビチリ、エビマヨなど、エビを使った料理が好きな人は多いですよね。お寿司でも、蒸しエビ、甘エビ、ボタンエビなどは、いずれも人気のあるネタです。
そして伊勢海老や車海老は、春が旬と言われる食材。2017年2月、東洋水産から「マルちゃん焼そば 春限定 えび香るだし醤油味 3人前」が、日清食品から「日清の太麺焼そば 海老とあさり風味のコク塩だれ」が発売されました。
迎え撃つは…
既存の商品にもエビ風味の焼きそばはあります。「流水麺」シリーズなどで有名なシマダヤでは「3食塩焼そば」を定番シリーズとして販売中。パッケージには「エビと香味野菜のコク香り」とあります。この3商品のパッケージはこんな具合。
シマダヤとマルちゃんは3食パックで透明袋。日清は2食パックで不透明袋の違いがります。原材料などは下図のとおりです。
シマダヤは“エビエキスパウダー”、マルちゃんは“エビパウダー”、日清は“えび醤”が含まれています。この辺りがエビ風味の元でしょう。その他ジンジャーパウダー、昆布エキス、魚介エキス、アサリエキスなども入っており、各社の工夫が見て取れますね。注意したいのは表記の順番です。これは基本的に、含まれている量が多い順に表記することになっています。
シマダヤは、食塩、砂糖…
マルちゃんは、醤油、砂糖、植物油、食塩…
日清は、砂糖、しょうゆ、食塩…の順。
あくまでも個別に量の多い順であって、相対的な量として多いとは限りませんが、日清は「コク塩だれ」と表記しつつも、塩より醤油が多くなっています。醤油はメイラード反応によって香りが豊かな調味料ですから、ここも日清の工夫と言えるでしょう。
15グラムの差
もう1つ見逃したくないのは麺の量。1人前を何グラムと考えるかは人や企業によって異なるところですが、シマダヤと日清が1パック150グラムであるのに対して、マルちゃんは135グラム。3食パックのため、シマダヤとマルちゃんは、45グラムの差となります。ほんの1口の量ではあるものの、無視できない人も多いはず。
さらに麺の太さはこうなっています。左から、日清、マルちゃん、シマダヤ。
日清は“太麺”をウリにしているだけに明らかに太いのがわかります。マルちゃんとシマダヤは「マルちゃんがちょっと太いかな」と感じる程度ですね。
作って食べてみた
焼きそばを作るにあたって、多くの人がキャベツと豚肉を入れるのではないでしょうか。しかし筆者が焼きそばを作る際には、余りものを使う(冷蔵庫のお掃除)ため、キャベツではなく白菜や小松菜を、豚肉ではなく、ハムやソーセージ、場合によっては、ベーコンやチクワ、なんてことも。ただし今回は、単純に香りと味を比較するためキャベツのみで調理してみました。
まずはシマダヤから。
ごく当たり前にエビの香りがします。食べてみても、エビの味わい。スタンダードなエビ風味塩焼きそばと言っても良いですね。ただしこの後に豚肉などを入れて作ったところ、エビの風味や味わいが負けてしまうのは避けられませんでした……。シーフードミックスを使うなり、チクワやカマボコなど魚肉の練り製品に留めるなりするのが無難というのが正直なところです。
次にマルちゃん。
こちらは醤油の強い香りがプラス。もちろんエビの香りや味わいもあるが、そこに醤油が加わってインパクト大です。こちらも豚肉を入れて作ってみましたが、豚にエビが負けている感がありませんでした。
最後に日清。
赤っぽいツブツブは、別添えのかやくです。「小エビを揚げた!」と勘違いしそうですが、原材料を見ると分かるように加工でんぷんがメイン。つまりは、あられです。ただし食感に与える影響は大きく、太麺の歯ごたえと、サクサクしたかやくの噛みごたえは絶妙。
エビ風味焼きそば総評
香りと味の評価は次の通りです。
香り:マルちゃん>>>シマダヤ=日清
味:日清>>シマダヤ>マルちゃん
マルちゃんの香りが抜けているのは、醤油の相乗効果が大きいです。一方で醤油の味わいが強いため、味の面ではエビが隠れがちになっているのが残念なところ。日清とシマダヤは香りの面では同じくらいながらも、太麺とかやくの食感があるため、味では日清が一歩リード。
総合評価では、日清食品の「日清の太麺焼そば 海老とあさり風味のコク塩だれ」をお勧めしたいと思います。
ただしシマダヤとマルちゃんが3食パックであるのに対して、日清は2食パックであるとともに、値段は高め。「安くてお腹いっぱいになりたい!」と考えるのであれば、シマダヤやマルちゃんを選ぶのも“あり”。その際に45グラムの差をどう考えるかは、あなた次第です。